TAMRON LENS BLOG

abe_blog_banner_6th

「ワイドズーム10-24㎜でマルタ島を撮る」も今回が6回目になり最終回です。この6回を通してみなさんにもっとも伝えたかったことは、超広角ズームは決して特別なレンズではなく、誰もがごく普通に使えるレンズだということです。望遠やマクロに比べると超広角は馴染みがないので、ちょっと特殊な気がしてしまうのも無理はありません。

遠くて肉眼では小さくしか見えないものを大きく見たいという欲求は誰でもあります。それをかなえてくれるのが望遠レンズです。望遠レンズの基になった望遠鏡の歴史は古く、ガリレオが作ったのは1609年といわれています。小さくて肉眼でははっきり見えないものを大きく見たいという欲求も人が生まれながらに持っているものです。マクロレンズの大元ともいえる虫めがねは、紀元前6世紀の遺跡から出土されています。

ところが世の中には、広角レンズの基になるような広い視野が得られる光学的な道具は歴史的に見当たりません。人は肉眼で広い世界を見渡すと頭の中でその広さが合成できるからでしょうか。でも頭の中で合成した広さとレンズを通してダイレクトに見える広さはまったくの別物です。その魅力を知ってしまったら手放せなくなるのが広角レンズなのです。

 

DSC_01

マルタ島の家はドアや窓に色を塗り綺麗に装飾します。建物の撮影が好きな人には被写体の宝庫です。でもドアや窓だけを切り取っているとカタログの写真のようになってしまいます。窓の反射が路面に映っていたのでそこも取り入れました。画角が広いワイドズームだからできたことです。

◎焦点距離:12mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100

 

DSC_02

綺麗な窓の装飾が夕陽で照らされています。面白いのは影です。反対側の建物のシルエットがはっきりと写し出されています。写真は光と影で作られるものです。ですが、影は気をつけないと見過ごしてしまうことも珍しくありません。ほんのちょっとの注意力が必要です。正面からではなく斜めから撮ることで奥行き感も表現しました。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:100

 

DSC_03

首都ヴァレッタの海沿いにある建物です。光が当たっているところと影のところがあります。立体的に見えるのは大切な要素ですが、描写の硬いレンズだと明るい側がとんだり、暗い側がつぶれたりします。タムロンのレンズは諧調が豊富なので見た目通りの自然さで再現してくれました。

◎焦点距離:14mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100

 

DSC_04

マルタ島の古都イムディーナです。かつては首都でもあったところで、中世の街並みを保っている城塞都市です。「静寂の町」の異名もあります。マルタ島は太陽の光に溢れています。湿度が低くカラッとして暑いですが、気持ちのいい暑さです。そんな空気感を写し撮りたくでシャッターをレリーズした1枚です。澄んだ空気が伝わるでしょうか。

◎焦点距離:13mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

DSC_05

5回目に紹介したレストランのあるBugibbaで撮りました。なにか懐かしい雰囲気。そうです。昭和を感じさせるものがあります。マルタ島が日本で人気になりつつあるのは、こんな景色があちこちにあるからかなと思います。10mmで赤色のパラソルと対比ができるようなるべく多くの空と雲を取り入れました。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

 

DSC_06

ヴァレッタにはたくさんのカフェがあります。ここは老舗で大きなカフェです。日中の暑いときはよくこの店で休憩しました。飲んでいるのはリンゴから作ったシードルです。アルコール度数は低くジュース的な味わいです。立派な内装なので背景が伝わるように低い位置から写しています。

◎焦点距離:12mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:1600

 

DSC_07

3回目に登場した国立考古学博物館で撮りました。ごく普通の階段ですが、柔らかな光が回っていてなんともいえない優しい感じです。また黄色という色もいいです。被写体はどこにでもあるものです。でもそれに対応するレンズを持っていなければ写すことはできません。ワイドズームを持っていたから狭い場所でも写すことができたのです。

◎焦点距離:16mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:320

 

DSC_08

マルタ島を発った日はフランクフルト経由でデュッセルドルフに向かいました。フランクフルトでターミナルの移動をするときの地下通路です。どこまでも続く長い通路。幼いころに見たアメリカのTVドラマ「タイムトンネル」を思い出しました。レンズの歪み(ディストーション)がなくすべてのラインが真っ直ぐに中央に向かって行きます。手ブレ補正機構「VC」のおかげで暗くても鮮明に写し撮ることができました。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:250

 

最終回なので、マルタ島のあちこちで撮影した写真を見ていただきました。

いかがですか。ほら、ワイドズームはもう特殊なレンズではなくなりましたね。望遠、マクロに次ぐ第三のレンズが広角です。タムロンの10-24㎜で身近だけど新しい世界へデビューしましょう。

それでは、また!

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ

 

「ワイドズーム10-24mmでマルタ島を撮る」の第1回からの記事はこちらからご覧下さい。

第1回 10mmと18mmのちがい、10mmと24mmの使い分け
第2回 超広角ズームで撮りたい被写体と画面構成
第3回 超広角ズームでもVCはありがたい
第4回 マルタの猫
第5回 マルタで料理撮影

先日「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD」(Model B028)の発売直前となる、体験撮影セミナーで講師を担当させていただきました、写真家の若子jetです。 暑い中お集まりいただいた参加のみなさま、誠にありがとうございました。

今回は体験撮影セミナーにて、皆さんと一緒に撮影したものをご紹介したいと思います。「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD」(Model B028)は、APS-Cサイズ相当デジタル一眼レフカメラ専用の高倍率ズームレンズ。世界初の18-400mm(35mm判換算28-620mm相当)の焦点距離をカバーしています。

望遠側の描写に期待が集まっていましたので、多くの動物を特に望遠側の400mm(35mm判換算620mm相当)で狙ったところ、写し出される画に圧倒されてしまいました。 体の輪郭やディティール、毛並みまでも、望遠側での圧縮効果、引き寄せ効果を多く得られます。 高画質を保ちながら迫力のある画を捉えることができました。描写も美しく、息をのむほど。 また、フレアやゴーストを抑えることによって、クリアでより抜けの良い画質を実現しています。

18-400mmは、近くにいる動物も、近寄れない遠くにいる動物もダイナミックにおさめることのできる幅広い焦点距離のレンズなので、自分の表現したい距離感で動物を捉えることが可能です。 体験撮影セミナーでの限られた時間の中で、レンズ1本で様々な撮影表現を楽しむことができまし た。

また、「18-400mm  F/3.5-6.3  Di  II  VC  HLD」(Model  B028)は、レンズ全長121.4mm、質量705gと小型軽量です。 カメラバックにはカメラボディと1本のレンズのみで出かけることもできるので、撮影時だけでなく 持ち歩きの軽量化にもなり、嬉しいです。 動物園や水族館などの撮影では三脚が使用不可の箇所なども見られる中、コンパクトかつVC機能(手ブレ補正)のおかげでサクサクとアクティブに撮影ができる事がとてもありがたいです。 動物の動きが読み難い場合でも、瞬間的に水面に顔を出してくれた表情を捉えることが出来ました。

また動物園園内を歩いていると、夏場の動物園は至る所で散水されていたり、シロクマが勢いよく水を吹き飛ばします。そんな中でも簡易防滴があるおかげで、水しぶきなどを気にせずに集中して撮影に挑めました。

さて7月20日に発売となった「18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD」(Model B028)、 色々なシーンに幅広くお使いいただける1本となることは間違いないでしょう。この夏を18-400mmと一緒に過ごしてみませんか?

 

DSC_4350 (5)

気持ちよく水面を泳ぐホッキョクグマ。 瞬間的に水面からお顔を出してくれたので、嬉しくて思わずシャッターを切りました。 勢いよく顔を振って飛び散る水しぶき、それと共に揺れる毛並みなど、瞬間的に捉えることが出来ました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/2000秒 ISO感度:500

 

aDSC_4377鼻上角修正

日陰でのサイはVC機能のおかげで手ブレする事なく安心して撮影に挑む事が出来ました。

◎焦点距離:220mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:1000

 

DSC_4350 (6)

猛暑の中、お昼寝を始めたトラ。 せっかくなので、400mmで毛並みを撮ることにしました。手前から奥への圧縮効果があり、高倍率ズームならではの素晴らしい画を収めることが出来ました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:1000

 

DSC_4350 (3)

動きの少ないハシビロコウ。 この日は混み合っている3連休という事もあり、激しく動いてくれました。笑 ハシビロコウの身体の解像感、くちばしの質感まで鮮明に再現してくれました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:400

 

DSC_4350 (2)

複数匹のワオキツネザルを撮影しました。 体長約40cmほどのものを大きくダイナミックに捉え、重なる身体の距離を圧縮効果でぎゅっと縮め、充実感ある構図で撮ること が出来ました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:400

 

DSC_4350 (1)

フォトジェニックな紅色をしたフラミンゴは、体験会参加者にも人気の動物でした。 柔らかな身体の質感を再現する事が出来ました。 後ボケの丸ボケも美しく、画の収まりがよく撮影できました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:400

 

DSC_4889

簡易防滴があるおかげで、安心して撮影する事が出来た水面の動物たち。 水鳥の顔の表情だけでなく、背景も作品の一部として、切りとる事が可能です。 ピントの合った箇所は、シャープに再現されていました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

DSC_4350 (7)

ペンギンの黒い身体の箇所も階調が潰れる事なく、しっかりと質感を残してくれています。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:400

 

DSC_4350 (4)

バーバリーシープを撮影しました。角の質感、色、形状までも鮮明に写し出されている事がよく分かります。大きくて立派な角に凛としたかっこいい表情をおさめる事が出来ました。

◎焦点距離:400mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:1250

 

wakakojet若子jet

岐阜県岐阜市生まれ。名古屋造形大学卒業。 撮影スタジオ勤務後、出版社写真部を経て、写真家松本明彦氏に師事後、独立。
被写体は人物を中心に、雑誌、広告等の撮影をする一方、展覧会でも発表多数。 ライフワークとして街スナップを楽しんでいる。 優しく可愛く綺麗な世界観を得意とする。

 

2016年7月、若子jet写真集「キッチュa GO!!GO!! 浪花編」好評発売中。
https://wakakojet.thebase.in

ブログ:若子jetのセンチメンタル日記
http://wakakojet.exblog.jp/

Instagram https://www.instagram.com/wakakojet/
twitter https://mobile.twitter.com/wakakojet

 

■18-400mm製品情報はこちら
18-400mm F/3.5-6.3 Di II VC HLD(Model B028)

■今回の体験撮影セミナーにご協力頂いた動物園についてはこちら
上野動物園
天王寺動物園

abe_blog_banner_5th

タムロンのワイドズーム10-24mmは、日常の記録写真を撮るのにも最適です。旅行の楽しみのひとつに食事があります。スマホが一般化してからレストランで料理の写真を撮っている人を見かけることが多くなりましたが、カメラならもっと美味しそうに撮ることができます。しかも10-24mmは手ブレ補正のVCを備えています。レストランは暗いところも多いので、手ブレ補正はぜひともほしい機能です。

マルタ島にはマルタ料理もあり、代表はうさぎの煮込みです。うさぎも美味しいですが、えー!うさぎ、と思われる方はイタリアンがおススメです。イタリアは近いのでマルタへ移り住んだ人も多く、美味しいイタリアンがたくさんあります。Bugibbaという街に気に入って2度行ったAcqua Marinaというレストランがあるので、その店の料理を見てください。

料理を撮るのには何mmで撮るのがいいでしょう。10-24mmは画角変化が大きいレンズだと第1回目に書きましたが、実は10mmでも24mmでも撮れます。より立体感があるように周囲まで含めて写したければ10mm側、料理だけをあっさり撮りたければ24mm側を使うといった使い分けです。

 

DSC_01

この写真は11mmです。パンにざく切りのトマトとオリーブオイル、ニンニクなどを絡めて載せたイタリアの前菜です。11mmなので画角が広くテーブル全体をカバーできています。トマトがキラキラ光って見えるのは、この日は天気がよく外光が溢れるように入っていたからです。

◎焦点距離:11mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:220

 

DSC_02

同じ料理ですが、別の日に24mmで撮りました。この写真の方がサラッとしたイメージです。この日は奥のテーブルへ座ってしまったので外光があまり届きませんでした。トマトがキラキラしないのはそのためです。料理の撮影では座る場所は大切です。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:800

 

DSC_03

Acqua Marinaの店内から外へ向かって写した写真です。焦点距離は13mmです。歪み(ディストーション)が抑えられているので嫌味がなく写されています。料理だけでなく店内も撮っておきましょう。

◎焦点距離:13mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:800

 

DSC_04

ファインダーをのぞくとシャッター速度は1/13秒です。手ブレ補正機構「VC」のおかげでブレずに撮れました。ところで、なにを料理したものでしょうか。いまひとつわかりませんね。そうなんです。和えた料理はわかりにくいときが多いのです。オリーブのような丸いものがいくつか入っていて、味付けはトマトらしいことはわかります。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/13秒 ISO感度:800

 

DSC_05

こんなときはお皿を回してみましょう。素材の特長的な部分が見えてくることもあります。ほら、タコの吸盤が現れました。外国ではタコを食べないと思われがちですが、イタリア、スペイン、ポルトガルではタコを食べます。マルタもタコが獲れるのでタコの煮込みはマルタ料理です。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/10秒 ISO感度:800

 

DSC_06

メインが運ばれてきました。手前はフライの盛り合わせです。イカとイワシのような小魚です。奥の料理までピントが合っていません。これは広角であってもアップにするとピントが合う奥行きが浅くなってしまうからです。ピントの合う奥行きを深くするには絞り込めばいいのですが、今の撮影条件はISO感度800で、シャッター速度は 1/6秒と遅いです。VCを備えていても、これ以上は手ブレを考慮すると絞り込めないのです。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/6秒 ISO感度:800

 

DSC_07

慌てることはありません。1枚に収めようとせずに2枚に分けたらよいのです。奥の料理の丸く平べったいのはラビオリです。普通のラビオリよりかなり大き目です。これはマルタ料理です。シーフードもたくさん載っています。素晴らしい美味しさでAcqua Marinaの看板料理です。

◎焦点距離:11mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:320

 

DSC_08

10-24mmの最短撮影距離は0.24mと短いのでもっと近寄ることもできます。近寄ればそれだけ迫力は出ます。好みに応じて撮影距離を決めてください。ですが、あまり近寄り過ぎてうっかりレンズが料理に付かないように気をつけてください。防汚コートを採用しているのでオリーブオイルも綺麗に拭き取ることができますが、レンズは汚さないことが一番です。

◎焦点距離:11mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:500

 

DSC_09

帰るときにAcqua Marinaのご主人Carloさんが店の前まで見送ってくれました。優しい笑顔です。人柄の良さが料理に反映されています。美味しいのもうなづけます。24mmはこんなシーンでもピッタリの画角です。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:180

 

レストランで料理を撮るときに心がけたいことは、ほかのお客さんへの気配りです。席から立ち上がって写したり、ストロボを何度も発光させるのは控えたいものです。そもそも料理の写真を撮るのにストロボは必要ありません。昼間なら窓際の席へ。夜なら照明のしっかり当たっている席に座りましょう。

 

DSC_10

■Acqua Marina
160 St Anthony Street, Bugibba, Island of Malta SPB 356, Malta
TEL +356 2703 4933
https://www.facebook.com/acquamarinamalta/

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ

 

「ワイドズーム10-24mmでマルタ島を撮る」の第1回からの記事はこちらからご覧下さい。

第1回 10mmと18mmのちがい、10mmと24mmの使い分け
第2回 超広角ズームで撮りたい被写体と画面構成
第3回 超広角ズームでもVCはありがたい
第4回 マルタの猫

abe_blog_banner_4th

マルタ島は日本ではそれほど有名ではありません。ただ、ここ数年で一部の人に知られるようになりました。長年に渡って英国領だったのできちっとした英語を話す方が多く治安も良いので、日本の女子大生の間では留学先として人気が出てきました。

またマルタの猫と聞いたらどうでしょう?「はっ!」と思い浮かんだ方もいるのでは。

写真家の新美敬子さんが同名の写真展を開催し、写真集も出されています。そうです。マルタはノラ猫で有名な島なのです。ノラ猫を見に来るのがマルタへ来る目的だという人も多いようです。私は特に猫好きというわけではありませんが、散策中に撮れた写真を見ていただきたいと思います。

 

DSC_01

海岸通りを歩くと目に留まる大きな猫のオブジェがあります。よく見ると右目は怪我をしています。そうです。ノラ猫のオブジェなのです。ここは公園になっていていくつものノラ猫の住処があり、その多くはボランティアの人たちによって管理されています。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

DSC_02

中にはとても可愛らしい家のようなデザインのものもあります。犬小屋ならぬ猫小屋です。中をのぞいてみましたが、残念ながら外出中でした。マルタ島のあちこちにこうした猫小屋があります。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100

 

DSC_03

猫は島中のどこにでもいますが、やはり海辺の方が多いように思います。海岸近くの道を散策していると一匹の猫がドアの中に入りたそうにしていました。この家の飼い猫かなと思いましたが、首輪もしていないのでノラ猫でしょう。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/50秒 ISO感度:100

 

DSC_04

「中に入りたいの? 入れないねぇ」と声をかけるとひっくり返って甘えて見せます。マルタの猫はまるで自分たちが観光資源のひとつに含まれているように感じているのかもしれません。そうでなければこんなに愛想よくできないでしょう(笑)

◎焦点距離:22mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:100

 

DSC_05

カメラを近づけるといきなり立ち上がりました。タムロン10-24㎜のAFは速いので急な猫の動きにも対応できました。ノラ猫にしては毛並みもよく美しいです。毛の質感がよく表れています。もしかしたら飼い猫なのかもしれません。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/50秒 ISO感度:100

 

DSC_06

いきなりレンズをめがけて足早で近寄ってきました。後ずさりをしながらシャッターを切りました。撮影距離が短く猫も私も動いているので手ブレしてしまうところですが、手ブレ補正機構VCのおかげでギリギリ写し止めることができました。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100

 

DSC_07

近くに寄ってきてもモデル代がもらえないとわかると、猫はクルッときびすを返して走り去っていきました。少しも振り返らないところに潔さを感じます。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100

 

DSC_08

泊まっていたホテルの近くの小さなスーパーマーケットにもノラ猫が2~3匹住み着いていました。買い物に行く度に会えるのを楽しみにしていました。逃げることもなく床で寝ていることが多かったです。この写真はクッキリと写しだされた猫の影が気に入っています。耳のところが可愛らしいです。

◎焦点距離:12mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:100

 

DSC_09

スーパーマーケットの猫は夜になると門番のようにも見えました。ノラ猫ですから番などするわけはなく、友達の猫が来るのを待っていたようです。一眼レフの高感度ISO3200とタムロンの手ブレ補正VCがあれば夜のスナップも楽しいです。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:3200

 

DSC_10

おまけです。マルタの犬です。ご存知でしょうか。マルチーズはマルタ島が原産の犬なのです。しかしマルタでマルチーズはあまり見かけませんでした。写真は10mmで思い切って近づいて撮っています。超広角では被写体を大きく写しつつも背景を広く取り入れることができます。被写体だけでなくその場の様子も細かに見せることができるのが魅力です。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/b023.html

 

「ワイドズーム10-24mmでマルタ島を撮る」の第1回からの記事はこちらからご覧下さい。

第1回 10mmと18mmのちがい、10mmと24mmの使い分け
http://www.tamronblog.jp/?p=3400

第2回 超広角ズームで撮りたい被写体と画面構成
http://www.tamronblog.jp/?p=3466

第3回 超広角ズームでもVCはありがたい
http://www.tamronblog.jp/?p=3515

焦点距離70-200mmは自然風景の撮影の中で、もっとも頻繁に活用する焦点域と言われています。私の作品を振り返ってもこの領域がずば抜けて多いのです。これは狭い日本のフィールドに適した画角が得やすく、中望遠レンズの程よい圧縮効果もあり作画しやすい利点があるからでしょう。
使用頻度の高いレンズだからこそ撮影道具としての満足感が必要です。私にとってSP 70-200mm F/2.8 G2 (Model A025)は、愛着を感じるレンズということ。これは非常に感覚的な言い方ですが、レンズを道具として選ぶ場合の重要なポイントです。どんな場面でも扱いやすく信頼できる機材が欲しいというのは私のこだわりかも知れませんが、簡単に言えば「言うことを聞いてくれるレンズ」ということです。その資質がこのレンズにはあるのです。

手に取ってじっくり眺めると分かりますが、スマートな肌障りのよい表面仕上げで、高級感を漂わせるデザインです。細部までこだわり抜いたボディ設計は、操作する手に馴染みやすく一体感を感じられます。
特にズームやピントなど頻繁に扱うリングの幅や回した時の抵抗感は決して軽々しくなく、構図やMFでのピント位置を追い求めることの多い私には、緻密なフォーカシングができ、決めた位置が不用意に動かない点が特に気に入っています。また手持ち撮影時の疲れの少なさも特長のひとつ。ボディに装着した際のレンズのバランスが良く、重さを感じさせないため、手持ち撮影したくなるレンズでもあります。
そんなお気に入りレンズの描写力は作品でも解説しますが、抜けよく程よいコントラストでしっとりとした質感を見せてくれます。こうした描写力の影に絞り羽根9枚が貢献しています。羽根の枚数が多いため絞り込んでも円に近い均一な光が入り、解像度が高く柔らかな描写を見せてくれます。これが落ち着いた質感描写に繋がっているのでしょう。
書ききれないほどの魅力があるレンズですが最後にアルカスイス規格対応のレンズ台座が標準装備されたことで素早く確実にセットでき重宝しています。

 

_30A1165

夕暮れの西空に浮かんだ二日月を焦点距離107mmで捉えています。新月翌日の細い月で馴染みのある三日月の一日前です。二日月は夕焼けとの距離が近く望遠での組み合わせに適しています。澄んだ空では地球照で月の影の部分も浮かび上がります。ここでは木立を前景に縦構図とし、月をアクセントに構成することで風情を感じさせる作品に仕上げています。

◎焦点距離:107mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/1.6秒 ISO感度:640

 

_30A2227

山桜と新緑がコラボレーションする山笑う季節。カラフルさが印象的な日中をあえて避け、日没後の薄暮の時間帯を選びました。この時間はマジックアワーとも呼ばれ日陰では特有のブルートーンが広がります。ブルートーンかぶりした湖畔の風景は狙い通りに色染めています。新緑の彩りが浅くなりますが、昼間の景観とはひと味違う色調に妖艶な雰囲気も漂います。

◎焦点距離:131mm 絞り:F/14 シャッタースピード:1秒 ISO感度:400

 

_30A2043

日差しを浴びて輝く若葉。風に吹かれ透過光がキラキラ輝いています。そんな心地よい爽やかな風光をキャッチするために絞りを開放にし、ファインダーで見たままのイメージを優先しました。開放描写により高速シャッターも得られ、風になびく束の間の表情をキャッチできました。

◎焦点距離:200mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:200

 

_30A2364 コピー

農家の庭先に咲いたボケの花。鋭いトゲのある花木です。まさに「美しい花には棘がある」のことわざ通り。淡いピンクのグラデーションが美しい花です。このレンズは最短至近距離が95cmまで近寄ることができるので望遠ズームのような扱いもできます。花のクローズアップも十分楽し楽しむことの出来るポテンシャルを秘めています。

◎焦点距離:191mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

_30A2386

斜面に群生する福寿草をローポジションから狙いました。窮屈な体勢から手持ち撮影を強いられ、さらに日陰なので露出に厳しい。そんな環境での撮影には強化された「手ブレ防止機能」が強い味方です。ピタッと静止する様子をファインダー内で眺めていると、あたかも三脚固定で撮影しているかのようです。F/5.0に絞っていますが落ち着いた背景のボケ味が群生美を引き立ててくれました。

◎焦点距離:103mm 絞り:F/5 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100

 

_MG_9763

染め上げるような朱色の夕映え。厚い雲の隙間から差し込む残照が演出する美しい夕焼けです。この現象は夕焼けの中で、もっとも色変化の速い空模様です。もたもたしているとチャンスを逃します。ところがあいにく三脚を持ち合わせていなかったので手持ち撮影です。シャッター速度は1/40秒。カメラブレの心配がよぎりましたが、結果ブレは皆無でした。このときこのレンズの「ブレ防止機能」の凄さを再認識しました。

◎焦点距離:103mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:400

 

_30A2886

静まり返った渓谷にリズミカルな水色が穏やかに響き渡っています。流れを覆う木々の枝と隙間からのぞく流れの落ち込みを縦構図で構成しました。一体感のある風景にするためF/11に絞り込み、パンフォーカス気味に表現しています。シャープで落ち着いたレンズ描写によって楚々とした春景のひとコマが得られました。

◎焦点距離:118mm 絞り:F/11 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:200

 

_30A2879

枝先に広がるモミジの若葉。所々空いた隙間からは背景がのぞき、あたかも和織物のようです。前の縦構図の作品と同じ場所で撮影していますが全くの別表現です。この作品では葉の面を俯瞰できるアングルを選び200mmでクローズアップしています。さらに絞りの選択も描写性能の高いF/8を選びました。ひとつひとつの葉を拡大して見るとくっきりと葉脈まで写り、解像力の優れたレンズ性能を実感しました。

◎焦点距離:200mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:200

 

tanaka田中 達也(たなか・たつや)医療ソーシャルワーカーを経て自然写真家として独立。身近な自然や風景、星空やオーロラなど幅広く撮影活動を行い、繊細で力強い作風を特徴とする。オーロラと風景を組み合わせた一連の作品は海外からも高い評価を受ける。最新著書に「情景写真術」「星と月の撮り方入門」インプレス・「蛍の本」日本写真企画がある。
(社)日本写真家協会・日本自然科学写真協会会員

 

田中達也さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 70-200mm F/2.8 Di VC USD G2 (Model A025)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/a025.html