TAMRON LENS BLOG

厳冬期のアラスカを撮影してきました。
場所は北米大陸最高峰マッキンリーを望む氷河の上。
下界と隔絶された氷点下40℃の世界。自作のかまくらで過ごすひとりきりの50日間でした。

4日間だけオーロラが出てくれました。
たったそれだけ、と思ってしまいますが、天候の不安定なこの場所にしてはいい方です。
しかも適度な月光にも恵まれ、浮かび上がる峰々とオーロラとの幻想的なコラボレーションも撮影できました。

15-30mmは極北の厳寒に正面から対峙し、大自然の雄大さをダイナミックかつ繊細に再現してくれました。
幅広い焦点距離で天空を縦横無尽に乱舞するオーロラを臨機応変にとらえ、
圧倒的な解像力で山肌の神秘的な質感を表現してくれています。

 

a012_noriomatsumoto_2608

目の前にそびえ立つ2,103mの鋭鋒。日没直後の青が夜の帳とせめぎあう静寂のひととき。

◎焦点距離:30mm、撮影モード:マニュアル、絞り:f/7.1、シャッタースピード:1秒、ISO:800、
露出補正:なし、ホワイトバランス:晴天

 

a012_noriomatsumoto_3044

パウダースノーに覆われた原始の風景が月光に照らし出された。満月の光は読書ができるほどに明るい。

◎焦点距離:19mm、撮影モード:マニュアル、絞り:f/2.8、シャッタースピード:3秒、ISO:800、
露出補正:なし、ホワイトバランス:晴天

 

a012_noriomatsumoto_2974

快晴、月光、オーロラがすべて揃った歓喜の一夜。流水のように伸びゆく光に胸の高鳴りが呼応する。

◎焦点距離:27mm、撮影モード:マニュアル、絞り:f/2.8、シャッタースピード:1.3秒、ISO:1600、
露出補正:なし、ホワイトバランス:晴天

 

a012_noriomatsumoto_3914

西の地平線から躍り出た光が頭上に揺らめく。降りそそぐ宇宙の息吹を一身に浴びる至福の瞬間。

◎焦点距離:15mm、撮影モード:マニュアル、絞り:f/2.8、シャッタースピード:6秒、ISO:1600、
露出補正:なし、ホワイトバランス:晴天

 

a012_noriomatsumoto_3847

狂ったように舞い踊る巨大オーロラの下、もはや寒気など感じない。早朝にまでおよんだ撮影。
キャンプ開始から49日目のことだった。

◎焦点距離:15mm、撮影モード:マニュアル、絞り:f/2.8、シャッタースピード:5秒、ISO:1600、
露出補正:なし、ホワイトバランス:晴天

 

Profile

matsumoto松本紀生(まつもと・のりお)

1972年愛媛県松山市生まれ。アラスカ大学卒業。
年の約半分をアラスカで過ごし、夏は北極圏や無人島、冬は氷河上でかまくら生活をしながら、動物やオーロラの撮影に専念する。その活動は朝日新聞「ひと」欄やTBS「情熱大陸」でも紹介される。最新刊「原野行」で第40回木村伊兵衛賞ノミネート。
公式サイト:www.matsumotonorio.com

 

松本紀生さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD (Model A012)スペシャルサイト:
http://www.tamron.co.jp/lineup/a012/index.html

A012_abe_blog_A

 

はい。阿部秀之です!
2回目では、パースペクティブは、上下ではなく、レベル(水平)を出して奥へつけなければならないという
話をしました。しかし、3回目では例外もあるという話をしましょう。
えー!と思われるかもしれませんが、写真はあーじゃなきゃいけない、こーじゃなきゃいけない。
あーすればいい、こーすればいい。というほど単純なものではありません。例外があって当然なのです。

巨大な赤い橋は神戸大橋です。神戸とポートアイランド間に架かる美しい橋です。
まずはレベルを出して遠近感を奥へ向けて撮ってみましょう。
悪くないのですが、15㎜といえども撮影距離が近いので橋が画面にたくさんは入りません。
中央の道路ばかりが目立って間抜けな感じです。
試しにレンズを上に振り上げて撮ってみました。橋が画面にドーンと入って迫力満点です。
上に向かって遠近感がついたので水面がわずかに傾いてしまいましたが、このくらいなら良しとしましょう。
2点のどちらを選ぶかと問われたら、文句なくレンズを振り上げて撮った方を選びます。
神戸大橋ではもう1シーン撮っています。反対側に振り返るとものすごい逆光で橋がシルエットに近く見えました。
ここではレベルを出した写真もカッコいいです。レベルが出せるものなら、やはり出したいのです。

 

DSC_3461

レベルを出してレンズを水平にして撮っています。15㎜といえども橋の上の方は収まり切れません。
中央の道路の方が目立っています。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:100

 

DSC_3457

レンズを上に振り上げて撮りました。
パースペクティブは天に向かってついてしまいましたが、それほど違和感はありません。
橋が大きく撮り込まれてダイナミックな感じがします。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:100

 

DSC_0888

神戸大橋を逆光で撮りました。シルエットにも美しさがあります。
このシーンではレベルを出したものもカッコよかったです。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:100

 

神戸の街中でスナップをしました。
アーケードが交わるところに代理石やタイルを埋め込んで作られた円形のカレンダーがあります。
私には立派なものに見えましたが、行き交う人はまったく気にせずに通っていきます。
15㎜でレンズを下に振り下げているので、パースペクティブが下に向かってついています。
でも、それほど違和感は感じられません。超広角の広がりは通行人で広さが消されているので28㎜ぐらいに見えます。
同じシーンで人が少ないと広がりが感じられるようになります。人の目はけっこういい加減なものです。

 

DSC_1001

15㎜で撮っているのですが、広がりが感じられないので28㎜ぐらいに見えます。
下に向けて撮っていますが、パースペクティブによる違和感はありません。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:110

 

DSC_1012

まったく同じシーンですが、人が少ないので画角が広く感じられます。
下に向かったパースペクティブの影響で行き交う人が先すぼまりになっています。
超広角の使い方としては許容範囲ギリギリでしょう。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:110

 

もう1点アップしましょう。大阪の門真南にあるなみはやドームです。
この写真もレンズを上に振り上げて撮っているので、
パースペクティブは上に向かってついているのですが違和感はありません。
周囲に真っ直ぐに立っているビルや柱がないからでしょう。
こんなときは思い切って振り上げて空を広く取り入れたいです。
カラーより白黒に変換したほうがよりイメージに合います。

 

DSC_2129

DSC_2129b

周囲に傾きを感じさせるものがほとんどないので、レンズをかなり上に振り上げていますが、違和感はありません。
思い切って空をたくさん撮り込みました。被写体がカラーよりも白黒に向いています。
撮影後に白黒に変換するとよりイメージ通りになりました。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100

 

写真は自由なものです。どう撮るかはあなた次第です。
しかし、パースペクティブは、上下ではなく、
レベル(水平)を出して奥へつけなければならないという基本を知っていて、
そのうえでアレンジして撮るのと、基本をなにも知らないで撮るのとでは結果は大きく異なります。

 

Profile

阿部秀之

阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部秀之氏が解説するレンズ、SP 15-30mm F/2.8 Di VC USDの製品スペシャルサイト
http://www.tamron.co.jp/lineup/a012/index.html

lh_title

 

第4回 竹之内文樺×西荻窪 ― 1993年生まれ 兵庫県出身 美術学生―

 

高校を卒業してから上京しました。もともと古着好きなんで、はじめは高円寺で家探ししたんです。
けど、家賃が高くて…。
それでも中央線沿線がいいなぁ~って、西荻窪にたどり着きました。ここ見に来た瞬間に気に入ってしまいました。
本当に居心地が良いっていうか、大家さん、とっても良い人なんです。
いつも気にかけてくれて、熱出して寝込んだりすると、アイスクリームとか、りんごとか持ってきてくれる。
なんかお母さんみたいな感じなんです。
駅の近くには、ご飯屋さんも多いし、古い家が並ぶ路地なんかも落ち着きますね。
あと、近所にある善福寺公園は、メッチャお気に入りの場所。やっぱり田舎育ちだから草や木がないとダメなんです。
ストレスが溜まってくると、そこ行って一休みするんですよ。

Fumika01

焦点距離:50mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/20秒 
ISO感度:400

 

24mm F/8 1/6秒 ISO400

焦点距離:24mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/6秒 ISO感度:400

 

人の多い新宿とか渋谷とか相変わらず苦手。地元は、電車が1時間に1本みたいなところでしたから…。
友達には「もう2年ぐらいおるんやから、いいかげん慣れようやぁ~」って言われるんだけど…。
やっぱり六本木ヒルズとか行くと「凄~い!」ってなっちゃうし、代官山も、わたしにとっては幻の街ですね。
「代官山、実在する?」って。用事があってどこかに出かけても、西荻窪に帰ってくるとホッとします。
そんなんだから、お休みの日も、家の近所で過ごしています。

45mm F/2.8 1/15秒 ISO400 -0.7補正

焦点距離:45mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:400 -0.7補正

 

東京で暮らすようになって「ここで生きていくんやなぁ~」って思いました。
小さい頃から、時々人とズレを感じることがあって、周りからも「変わってる」と言われることもあったんです。
自分では当たり前と思っていることも、どうやらそう感じる人ばかりじゃないんだなぁ~って。
風当たり、強めでしたね。
美術したいなんて地元で話しても、「美術で喰っていけるわけないやろ。現実を見ろ!」と
否定的な意見を言う人もいました。
東京の人は、わりとなんでも受け入れてくれますね。共感したり応援してくれる人も多いんです。
実際、美術で食べてる人がいっぱいいて、とても刺激をもらえてます。

24mm F/2.8 1/20秒 ISO400

焦点距離:24mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:400

 

35mm F/2.8 1/20秒 ISO500

焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/20秒 
ISO感度:500

 

50mm F/8 1/8秒 ISO400

焦点距離:50mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/8秒 ISO感度:400

 

今は絵を描いたりしていますが、絵で食べていきたいってことでもないんです。いろいろと手探り状態ですね~。
上手く言えないんだけど…。表現、表現って、家にこもって制作に没頭してると、気持ちがダークになりがちなんです。
そうそう、ちょうど今、関わらせてもらってる『とびらプロジェクト』(東京都美術館と東京藝術大学が連携して行なっているアートを介してコミュニティを育む事業)のように、やってみたいと思うことを企画して、いろんな人の力を結集して形にしていく。
それで参加者に楽しんでもらったりする。
そんな、関わる人みんなで達成感が味わえるようなことをこれからもしていきたいんです。

30mm F/2.8 1/20秒 ISO400

焦点距離:30mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/20秒 
ISO感度:400

 

西荻窪(東京都杉並区)

23区の最西端。JR中央線の西荻窪駅の周辺には、小さな個人営業の飲食店が多く、比較的安く呑める。駅から少し離れると、古い一戸建ての多い住宅密集地。アパートも多く、沿線の大学に通う学生も多く住まう。どこか下町風情のある居心地の良い街として人気だ。

 

水谷充さんご使用のSP 24-70mmについて詳しくは、
http://www.tamron.co.jp/lineup/a007/index.html

A012_abe_blog_A

 

はい。阿部秀之です!
2回目では、カメラアングルとパースペクティブ(遠近感)の話をしましょう。
超広角の広い画角に慣れてくると、最初の頃に感じた大海に放り出された小舟に乗っているような気持はどこへやら、
サクッとフレーミングができるようになります。しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。

気がつくとカメラを振り上げたり振り下げたり、
もっと写真的な言い方をすると、カメラを上や下にあおったアングルで撮影していませんか。
超広角が使えるようになったと思っている人の多くが、こうやって撮っているのです。
うーん、残念!これではダメです。超広角を使いこなせてはいないのです。

 

DSC_2183

いかにも超広角で撮りました、という写真です。こんな撮り方をしている人が多いですね。
でも、これではダメです。

◎焦点距離:23mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:100

 

パースペクティブは、天地(上下)ではなく、奥へつけなければならないのです。
これは写真を見てもらったほうが早いですね。昨年のクリスマスにビルの中の巨大なツリーを撮りました。
1階から見上げるように振り上げたアングルでねらうと、柱が歪み広い空間が覆いかぶさるように感じられます。
パースペクティブは、天に向かってついています。
ダイナミックな感じがするのか、この写り方を超広角だと思う人が多いようです。

 

DSC_0266

見上げるように振り上げたアングルでねらうとパースペクティブは上につきます。
柱が歪み広い空間が覆いかぶさるように感じられるのが超広角らしいと思う人が多いようです。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/2.8 シャッタースピード:1/100秒 露出補正:+0.3 ISO感度:200

 

3階に上がってねらってみましょう。カメラを振り上げずに水平のアングルでもきっちりフレーミングできます。
柱がまっすぐで美しいです。パースペクティブは、奥に向かってついています。どうですか。
これが本当の超広角の写し方なのです。これは建物に限りません。基本を覚えると写真の腕前はグーンとアップします。

 

DSC_0314

パースペクティブを奥につけるとは、この描写のことです。
建物の柱は歪んでいませんが、ダイナミックな感じがしますね。

◎焦点距離:19mm 絞り:f/2.8 シャッタースピード:1/50秒 露出補正:+0.3 ISO感度:200

 

高さのあるものを写すときは、少しでも高いところに上がって水平を保ちます。これが超広角を使う基本です。
もう1シーンご覧ください。大阪市中央公会堂です。
装飾が美しいホールですが、天井まで入れようと振り上げたアングルだと柱が歪んでしまいます。
自分の背丈からのアイレベルではシャンデリアが切れてします。
このときはカメラを一脚に取り付け、水平を保ったまま持ち上げて撮影しました。
頑張った甲斐があって柱を歪めずにパースペクティブを奥へつけた状態で、シャンデリアまで写すことができました。

 

DSC_3284

<振り上げたアングル>

 

DSC_3216

<アイレベル>

 

DSC_3226

<一脚を使用して水平だが高い位置>

みなさんもうわかりますね。超広角を使うときは、被写体の高さに合わせることが大切なのです。
どうしてもちょっとだけカメラを振り上げたり振り下げないとならないこともあります。
しかし、それは最小限に留めておきます。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/4 シャッタースピード:1/15秒 露出補正:+0.7 ISO感度:280

 

Profile

阿部秀之

阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部秀之氏が解説するレンズ、SP 15-30mm F/2.8 Di VC USDの製品スペシャルサイト
http://www.tamron.co.jp/lineup/a012/index.html

カテゴリ