TAMRON LENS BLOG

二十世紀最後の秋に初めて訪れて以来、マルタにすっかり魅せられて、
毎年のように訪問し、写真を撮り続けてきました。日本からの直行便はなく、ヨーロッパ主要都市で乗り継ぎ。
もう慣れたとはいうものの、やはり遠いと感じます。
他にも行きたい場所があるので、「今年はマルタは行かなくていいかな」と思うこともあるのですが、
どうしても足が向いてしまうのです。

以前に撮ったマルタの猫を見ていると、「この子、どうしているだろう」と、気になって気になって。
見覚えのある顔に再会できれば、「おばちゃん、あなたを知ってるよ」と、思わず口をついて出ます。
年に一度見るだけの人間を、猫が覚えているはずはないと思うのですが、
マルタの猫たちは、話を合わせてくれるようなところがある。そこが、可愛くて、また会いたくなってしまいます。

マルタは、猫はもちろん、いろいろな写真撮影が楽しめるので、旅行先としておすすめです。
どこを撮っても絵になる。写真に自信が持てるようになると思います。

ふだん使っているレンズは、24-70mm。これ一本で、いろいろなバリエーションを撮ることができます。
町を散策しながらのスナップ撮影にもってこい。光がきれいに写るレンズだと思っています。

 

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街ごと世界遺産に登録されたヴァレッタにある公園、アッパー バラッカ ガーデンの猫たち。
園内のキオスクの人たちから面倒を見てもらっている。

◎焦点距離:70mm、撮影モード:絞り優先、絞り:F4、シャッタースピード:1/250秒、ISO 100、
露出補正:-2/3 ホワイトバランス:オート

 

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マルタの離島、ゴゾの名所アズール ウィンドー。海にせり出した巨大な岩に、波の浸食により穴が開けられた。
浸食が進み、あと何年かすれば、窓ではなくなってしまう可能性があるそうだ。

◎焦点距離:35mm、撮影モード:絞り優先、絞り:F6.3、シャッタースピード:1/160秒、ISO 100、
露出補正:-2/3 ホワイトバランス:オート

 

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マルタ石でできた建造物が建ち並ぶヴァレッタの街は、はちみつ色で統一され、独特の雰囲気を醸し出している。
バルコニーを撮ろうと見上げていたら、不意に猫がフレームに入ってきた。

◎焦点距離:70mm、撮影モード:絞り優先、絞り:F4.5、シャッタースピード:1/500秒、ISO 100、
露出補正:-2/3 ホワイトバランス:オート

 

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ゴゾ島へは、マルタ島西部にあるフェリー乗り場から。およそ30分で着く。
野趣あふれるゴゾは、何度訪れても感動する。フェリーの甲板から撮ってみた。

◎焦点距離:48mm、撮影モード:絞り優先、絞り:F7.1、シャッタースピード:1/800秒、ISO100 、
露出補正:-1/3 ホワイトバランス:オート

 

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マリーナ付き高級マンションの敷地内でも猫たちが暮らしている。
通りを歩いていた猫に声をかけると、別の猫も近づいてきた。

◎焦点距離:62mm、撮影モード:絞り優先、絞り:F5.6、シャッタースピード:1/800秒、ISO100 、
露出補正:-1/3   ホワイトバランス:オート

 

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地中海性気候のマルタでは、様々な植物を目にすることができる。
やさしい黄色が美しいなと、思わずレンズを向ければ、見えたままの色が再現された。

◎焦点距離:70mm、撮影モード:絞り優先、絞り:F5.6、シャッタースピード:1/1000秒、ISO100、
露出補正:-1/3  ホワイトバランス:オート

 

Profile

新美敬子新美敬子(にいみ・けいこ)

1962年愛知県豊橋市生まれ。犬猫写真家。
世界を旅して出会った猫や犬と人々との関係を写真とエッセイで発表し、好評を博す。『職業犬猫写真家 猫とわたしの東京物語』(日本カメラ社)をはじめ50作を超える著作がある。最新作は、『マルタの猫』(河出書房新社)。電子版写真集『すて猫カテキン』『猫の旅 地中海』『犬を旅する。』(すべて河出書房新社)もある。

 

新美敬子さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD (Model A007)スペシャルサイト:

http://www.tamron.co.jp/lineup/a007/index.html

 

 

地中海のほぼ中央に位置するマルタ島。この島に毎年のように訪れ、
幸せに暮らす猫たちの様子を撮影し続ける、新美敬子氏の写真集「マルタの猫」。
著者が出会った猫たちの写真が満載です。

表紙写真中ページ紹介写真

 

『マルタの猫』
発行:河出書房新社
著者:新美敬子
発売:2015年6月20日
価格:1800円(税別)
ISBN:978-4-309-27601-4

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はい。阿部秀之です!
4回目の「ワイドズームで写真は上手くなる」です。早いものでこれが最後になります。
今回はSP 15-30mmのまだ伝えていない使いこなしのコツや魅力について話していきましょう。

このレンズを初めて手にした人が必ず感じるのは、ズシリとくる重さです。
1100gはヘビー級であることに間違いなく、
いつも交換レンズを3本くらい持ち歩く人が、その1本にしようと考えると大変です。
15-30mmを持って出るときは、ほかに交換レンズを持とうと考えないことです。
その日はワイドに徹すれば良いのです。
しかも1本で15、18、20、24、28、35mmと6本もの交換レンズを持つことになるのです。
十分ではありませんか。もし撮れないものがあったら、そのときはあきらめるというのもひとつです。
気持ちをワイドに集約して被写体を見つけましょう。

 

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15-30mmを持って出るときは、ほかに交換レンズは持ちません。この日は三脚も持っていきませんでした。
シャッタースピードは1/2秒と遅いですが、定評のあるVC(手ブレ補正機構)を搭載しているので、
しっかり構えて数カット撮れば写し止まっているものがあります。もちろん手ブレには個人差があります。
ブレない撮影法を練習することも大切です。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/8 シャッタースピード:1/2秒 露出補正:-0.3 ISO感度:400

 

ワイドズーム、超広角の世界の画面は、横位置だと思っている人が多いようです。
間違いではありませんが、実は縦位置とも相性がいいのです。
15mmといえども室内で引きがないときは横位置では収まりきれないこともあります。
そんなとき縦位置ならピッタリと収まることもあります。
また横位置は広がりを表しますが、縦位置は高さを表してくれます。
天地を表現したいときに縦位置をよく使います。

 

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大阪中央公会堂で撮影。室内では引きがなく15mmでも横位置だと収まりきれないことがあります。
こんなときは縦位置にしてみましょう。スッキリ収まることも多いのです。
15mmでありがながらディストーションがほぼ完全に補正された描写はほれぼれします。

◎焦点距離: 15mm 絞り:f/4 シャッタースピード:1/25秒 露出補正:-0.3 ISO感度: 200

 

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縦位置は高さを表すのに向いています。天と地を表現したければ、縦位置でフレーミングしてみましょう。
画面に余計なものが入らずスッキリとした写真になります。

◎焦点距離:30mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:100

 

驚くほど深い被写界深度も超ワイドの魅力です。
目の前の扉から部屋の奥まで、ほぼすべてがシャープに写し取られています。
非現実的に思えるかもしれませんが、実は人の目の見え方と一緒です。
人の目はいつもパンフォーカスで、ボケで見えることはないのです。
深い被写界深度を利用した撮り方は超ワイドを持っていると自然に身についてきます。
標準や望遠では表せない世界があるのです。

 

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扉から大きな部屋の奥まですべてがシャープに見えています。いわゆるパンフォーカスな描写になっています。
さすがは15mmと驚かれるかもしれませんが、
人の目も実は常にパンフォーカスで背景がボケて見えたりはしませんよね。
この撮影でも三脚は使っていません。15mmで1/6秒はタムロンのVCなら手持ちでもラクラク写し止まります。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/6秒 露出補正:-0.3 ISO感度:400

 

最短撮影距離が全ズーム域で0.28mと短いのも15-30mmの大きな魅力です。
最短撮影距離は短いほど自由な表現が可能です。思いきってグッと寄って撮ってみましょう。
綺麗なボケが得られます。
一般にレンズの描写は、至近では悪くなっていくのですが、15-30mmはそれを感じさせません。
実に素晴らしい描写です。
近寄って撮影した後は、頭は柔軟に切り替えることが大切です。
ピントを合せるところを変えれば、まったく別な世界に出会えることも珍しくありません。
望遠は被写界深度が浅いですが、写る範囲が狭いです。
ワイドで近寄ると写る範囲が広くなるので、望遠よりも一段と大きな変化が得られるのです。

 

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最短撮影距離が0.28mと短く、グッと近寄れるのがタムロンSP 15-30mmの魅力のひとつです。
思い切ってグッと寄ってみてください。そして今度はピント位置を変えてみる。また違う世界が広がるはずです。

◎焦点距離:30mm 絞り:f/6.3 シャッタースピード:1/30秒 露出補正:-0.3 ISO感度:250

 

さて、4回に渡ってお送りした「ワイドズームで写真は上手くなる」は、楽しんでいただけましたか。
15mmからのズームなんて使いこなせないと思っているあなた! 大丈夫です。
少しずつ慣れていけば、必ず使いこなせます。
そして使いこなせたときには、これまで以上にグッと写真が上手くなっていることでしょう。
では、またお会いしましょう。

 

Profile

阿部秀之

阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部秀之氏が解説するレンズ、SP 15-30mm F/2.8 Di VC USDの製品スペシャルサイト
http://www.tamron.co.jp/lineup/a012/index.html

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