TAMRON LENS BLOG

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   仏山タムロン工場の見学をきっかけにして、このブログではいくつかのテーマを持ってタムロンの交換レンズに私が感じていること、考えていることを9回にわたって述べてきた。今回はその最終回。

   タムロンは日本国内(青森工場)のほか海外(中国工場やヴェトナム工場)でも交換レンズを生産している。しかしそこで生産される交換レンズの「品質と性能」については、タムロンが定めた基準を厳格に守っている。つまり、生産される地域によって品質も性能も変わることはない、ということ。だからタムロンは、生産されるすべてのレンズが『Made in TAMRON』なのだと言っている。

   安定した品質で優れた性能を備える"良いレンズ"をタムロンが作っていること、さらには、もっと良いレンズを作ろうと努力していることは、このブログを読んでもらってなんとなくわかっていただけたと思う。
   しかし ━━ と、きっと多くの皆さんはおっしゃるだろう ━━ 良いレンズとは、具体的にどんな条件を満たしていればいいのか、タムロンはどんなところに重点をおいてレンズを設計し、開発し、製造しているのか。以下は、たぶんに私の個人的評価軸に偏っている部分もあるだろうが、タムロンが考える「理想のレンズ」と当たらずとも遠からずだと思う。
 

≪ 良いレンズであるための必須条件(私のレンズ評価軸)≫

① 適度なコントラスト(立体感、透明感)
② 上品なシャープネス(解像力、鮮鋭感)
③ 豊かなグラデーション(諧調描写力)
④ 滲みのない正しい色再現性(色のニュートラリティー、色のクリアーさ)
⑤ 優れた逆光特性(フレア/ゴーストが目立たない)
⑥ 正確な対称性(ディストーション/ディフォルメーションが少ない)
⑦ なだらかなボケ味(柔らかさ、色のクリアーさ)
⑧ 操作性(機能、大きさ重さ、ズームリング/ピントリングの感触)
⑨ 耐久性(壊れにくい、防塵、防滴)
⑩ 価格(リーズナブル、コストパフォーマンス)
 

   上に示した10の条件は私が普段、レンズを評価するときの基本条件である。それぞれに優劣、多少のデコボコがあってもいいが、欠けることは許されない。理想を言えば、10のすべての条件が均等に、バランス良く満たされていることだ。
   たとえば、シャープネス(解像力)が大変に優れているが、強いコントラスト傾向があるために諧調描写力は少し犠牲になっているレンズ。一見したところ、力強くて見栄えの良い写りのレンズのようだが、いささか個性が強すぎる。これを私は「自己主張し過ぎるレンズ」としてあまり高く評価をしない。

   では、タムロンの交換レンズはどうだろうか。
   上記の10の条件は過不足なく満たしているのだが、はっきり言って、やや地味な印象のレンズが多い。いいや、控えめで、謙虚な印象のレンズと言い直した方がいいか。
   いまのレンズ描写の流行のように、オレはどうだ、オレは凄いだろう、と自己を主張しないレンズのような気がする。レンズのほんとうの性能をわかってくれる人に使って欲しい、というタムロンの姿勢が、私は好きだし、良いことだと考えている。
   なぜか。その理由はデジタルカメラの特性を考えてみればわかる。
 

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   一部のレンズに見られるハイコントラストで太い解像描写力の画像は、見る人に力強い印象を与え「わっ、凄い描写だ」と驚かせることはできる。しかしタムロンレンズはそれとは逆。タムロンのレンズ描写の特長は、適度なコントラストと豊かな諧調描写力、そして細くて上品な解像力、立体感のあるボケ味だ。じんわりと時間をかけて良さが伝わってくる描写のような気がする。とくに、新しいSPシリーズの単焦点レンズは使っていると、そうしたタムロンレンズの特性を顕著に感じる。
   SP 35mm F/1.8 Di VC USD(Model F012)、絞り優先オート(F/1.8、1/3200秒)、ISO100

 

   デジタルカメラの画質は、いま飛躍的に向上してきている。イメージセンサーの高画素化や大型化、そして画像処理技術の進歩によるところが大きい。そんな現在の最新のデジタルカメラと組み合わせても、カメラ側の絵づくりの方向性を大切にしつつ、レンズの描写性能を充分に発揮することが求められている。

   レンズの個性が強すぎると、カメラ側の絵づくりの狙いがめちゃくちゃになってしまう恐れもある。レンズの自己主張が強すぎると、少しニュートラルに戻そうとしても無理のある画像処理をしなければならない。レンズの描写特性がニュートラルで柔軟性があるほど、カメラ側で絵づくりをコントロールしやすくなる。
   やや控えめで素材を大切にした描写だと、適度にコントラストやシャープネスを加減することで画質を損なうことなく画像を仕上げることができる。それがタムロンの「レンズ描写のフィロソフィー」ではなかろうか。

   考えてもみてほしい。タムロンの交換レンズは特定のメーカーのデジタルカメラにだけ相性が良いように作っているわけではない。絵づくりの考え方の異なるカメラメーカーのデジタルカメラと組み合わせても、自己主張せず、しかしレンズの描写性能は最大限に発揮されるように、じつに細やかな配慮がされている。
   タムロンのように汎用交換レンズを作っているレンズメーカーにとっては、ここが重要なのではないだろうか。たとえばフィルムカメラを使っていて、あるフィルムとの相性は良いが、別のフィルムを使うと期待したような写りにならない、カラーならいいがモノクロだとさっぱり、というような交換レンズは困る。それと似てはいないか。
 

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   たとえばの話だが、タムロンのまったく同じレンズを異なるメーカーのカメラボディと組み合わせて撮影してみると、いっぽうのカメラでは色収差がほとんど見られないのに、かたほうのカメラでは色収差が目立つということもある。カメラが自動的にデジタル処理をして一括に色収差を補正しているか、していないかの違いである。タムロンとしてはカメラ側の画像処理補正に頼ることなく、これからも正面から堂々とレンズ光学性能だけで勝負していって欲しいと思う。
   16-300mm F3/.5~6.3 Di II VC PZD MACRO (Model B016)、絞り優先オート(F8、1/250秒)、マイナス0.3EV露出補正、ISO3200。

 

   デジタルカメラと交換レンズをセットで作っているカメラメーカーでは、レンズの描写特性(クセや欠点)に応じてカメラの絵づくりを最適化するということもできる。歪曲収差や色収差などが簡単に補正できるのもそうした技術の恩恵によるものだ。
   しかし、それは自社の交換レンズに対してであって、他社(タムロンなど汎用レンズメーカー)の交換レンズは画像処理による自動収差補正の恩恵を受けることは、一般的にはできない。丁寧に真正面から、愚直に描写性能の良いレンズを作っていくしかない。そして、どのようなカメラボディと組み合わせても水準以上の画質が得られることは当然だが、さらにはボディとレンズとの重量バランスや操作にも違和感を与えないようにしなければならない。

   こうしたことはタムロンのような汎用レンズメーカーの宿命でもある。だからこそ、自己主張の強い頑固な交換レンズよりも、タムロンの交換レンズのように(やや地味ではあるが)描写の基本はしっかりと確保したうえで柔軟な交換レンズのほうが良いと私は考えている。

   「コンピューテーショナルフォトグラフィ」という言葉をご存じだろうか。
   コンピューターを使って作り出す新しい写真のことだ。最新のデジタルカメラの中にはコンピューターが内蔵されているようなものだ。新しい写真画像を創り出すだけでなく、イメージセンサー、画像処理技術、そしてレンズを一体に考え、それぞれの不足ぶんを互いにおぎないあいながら理想的な画像に仕上げる写真技術は、もうそこに来ている。
   将来、カメラ内蔵の高性能コンピューターを使ってレンズの収差補正をすることなど容易にできるようになるだろう(実際、いまもやっている)。未来的には、ピントの補正、ボケ味のコントロールなども簡単にできるようになる可能性だってある。

   だが、どんなにコンピューテーショナルフォトグラフィが進化したとしても、レンズの基本的な役割は変わることはないだろう。レンズには、光を忠実に、余計な手を加えることなくカメラに手渡すという基本原理がある。
   デジタルカメラが今後どれだけ電子化が進むか予想もつかないが、しかし写真レンズだけは、製造方法も役目もおそら今とあまり変わらないだろう。レンズを丁寧に磨き、それを正確に枠に嵌め込み、精密に動作させ、どこからの援助も手助けもなく自立して優れた描写性能を発揮する。そんなレンズこそが生き残って行き大切にされるに違いない。

   そう、いまのタムロンの交換レンズの「描写のフィロソフィー(第3回ブログを参照)」こそ、現在のデジタルカメラにとってももちろん、将来のデジタルカメラにとっても、いちばん重要なところをしっかりと見据えて設計され製造されているように思う。

 

 

   長いブログの連載をお読みいただき、ありがとうございました。
   「寡黙」なタムロンに替わって私がくどくどと説明をしてしまったために、すっかり長い連載になってしまいました。
   でも、このブログをお読みいただいてタムロンレンズの「良さ」が、皆さんに少しでもご理解していただければ私としては望外のよろこびです。
 

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   2~3日にかけ仏山タムロン工場などを見学させてもらって、本日は仏山を離れる日となった。その日の朝、カメラ一台を持ってホテルの近所を散歩してみた。蒸暑い朝で湿度が高い。エアコンの効いたホテルから一歩外に出るとレンズ表面がすぐ曇ってしまう。偶然、通りかかった小さな公園でご夫婦だろか、老人ふたりが音楽にあわせて軽やかにダンスをしているのを見かけた。見とれてしまうほどウマい。一曲終わるのを待って、おふたりの写真を撮らせてもらった。「ありがとうございました」と礼を言って別れ際、ふと振り向くと素晴らしい笑顔で見送ってくれていた。その笑顔を読者の皆さんにもお裾分けを。
   28-300mm F8/3.5~6.3 Di VC PZD(Model A010)、絞り優先オート(F/5.6、1/50秒)、マイナス0.7EV露出補正、ISO100。

 

tanaka田中 希美男(たなか きみお)

多摩美術大学・多摩芸術学園写真科を卒業後、フリーランスフォトグラファーに。おもにクルマの撮影を専門とするが、人物、風景、 スナップなど撮影分野は多岐に渡る。おもな出版書籍は「 デジタル一眼上達講座」、「 デジタル一眼 " 交換レンズ 入門」 ( ともにアスキー新書 )、「 デジタル一眼レフ・写真の撮り方」( 技術評論社 )、「 名車交遊録」 ( 原書房 ) 、「 名車探求」 ( 立風書房 )など。 写真展は多数開催。 現在、カメラやレンズ、写真関連の雑感を写真ブログ『Photo of the Day』や、twitter『@thisistanaka』で情報を発信中。

ホームページは『 http://www.thisistanaka.com/

大自然が広がる八ヶ岳で超大型犬のバーニーズマウンテンドッグを撮影した。
バーニーズマウンテンドッグは成犬のオスの場合は体重が50kgを超えるスイス原産の大型犬だ。
マウンテンドッグというだけあって八ヶ岳の山の風景には本当に良く似合う。
雄大な風景の中の犬たちをSP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2を使って撮影してみた。

このレンズを最初に持った瞬間の印象は、あれ?これって超望遠なの?と思うほどコンパクトで軽い。
犬の撮影では三脚や一脚を使った撮影よりもカメラとレンズを持って激しく動く撮影の方が圧倒的に多い。
止まってじっと狙うのではなく、良い瞬間をとらえるべく動きながら撮影する印象だ。
レンズは軽くて小さい方が機動性が上がり俊敏な動きにも対応できるので小型軽量であることは非常に嬉しい。

広々とした大地を駆け回る犬たち。被写体の犬との距離も大きく変化する私は、遠くにいた犬たちが近づくほど広角になるようズームリングを回しながら撮影する。
SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2は最大600mmの超望遠もさることながら、広角側150mmで撮影出来ることがペット撮影では大きな魅力だ。

 

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遠くに仲良く座るバーニーズ。その場の雰囲気を撮影したかったので最広角側150mmで撮影。
スーパーローアングルで撮影して手前の草を大きく入れて前ボケとした。

◎焦点距離:150mm 絞り:F/5 シャッタースピード:1/3200秒 ISO:800

 

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同じ位置に座る犬をそのまま最望遠側600mmで撮影。
同じ場所でも背景が大きくぼけてダイナミックな印象で2頭の犬を表現することができた。

◎焦点距離:600mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/3200秒 ISO:800

 

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私自身もじっとして撮影しているのではなく被写体との距離を考えてもう少し寄って150mmで撮影。
ズームを回すことだけでなく、良い画を撮るには撮影者自身動いて撮影することが重要だ。

◎焦点距離:150mm 絞り:F/5 シャッタースピード:1/5000秒 ISO:800

 

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◎焦点距離:600mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/2000秒 ISO:800

 

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600mmで撮影すると背景の光輝くススキが大きくぼけて玉ボケとなった。
犬の吐く白い息もしっかりと描写されている。

◎焦点距離:600mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/500秒 ISO:400

 

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美しい山脈を背景に私の方に向かって走ってくるバーニーズ。
ズームリングを回しながら犬と山のバランスを考えて撮影している。

◎焦点距離:329mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/3200秒 ISO:500

 

中村 陽子(なかむら・ようこ)

大阪市生まれ。カナダ トロント市在住中に犬と暮らし始めそのころからペットの撮影を始める。(有)ドッグファーストとスタジオD1を設立。広告を中心としてペットや子供の撮影などを手掛ける。写真教室の講師(撮り方、カメラの使い方、ペット撮影、子供撮影、テーブルフォト講座など)カメラ専門誌・愛犬雑誌でも活躍中。
風景写真やテーブルフォトの要素をペットの撮影に取り込んだ作品が特徴。

ホームページ
http://www.dogs1st.net/index.html

Facebook
https://www.facebook.com/yokonakamurad1/

 

中村陽子さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2(Model A022)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/a022.html

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   仏山タムロン工場を見学しながらいろんな話を聞いて、驚いたことがひとつあった。工場の生産ラインを管理する数十人の中国人管理職の人たちのほとんどが、日本語でコミュニケーションがとれるということだった。中国のタムロン工場の人たちが、それだけ努力をしているということではないか。
   日本のタムロンの社員とダイレクトに話ができることのメリットはいくつもある。
   たとえば、青森工場の技術者や本社の設計者たちと、通訳を介さずにテレビ会議をおこなって情報共有ができる。ほんの小さな問題も、なおざりにせず連絡を密に取り合って解決にあたることもできる。

   日本人の技術者たちが仏山タムロン工場にやってくるのは、新製品の立ち上げ時に5~6名、短期の出張に来るぐらいで、量産が軌道に乗ればさっさと帰国してしまう。それは青森の工場と本社との関係ともまったく同じで、中国の工場だからと"特別扱い"されているわけではない。
   仏山タムロン工場の製造ラインを管理する日本人は、多いときで2~3人が長期出張しているという状況。工場で働く人たちはほとんどが現地の中国人の人たち。それほどに仏山タムロン工場は「自立」してきているといえる。

   第7回めのブログで、仏山タムロン工場のことについてはすでに紹介した。そこで少しお話ししたが、工場で働く従業員数は約3000人で、平均年齢は26.3歳と若い。ざっと、女性が70%、男性は30%の比率。

   実際に仏山タムロン工場で働いているのは、どのような人たちなのだろうか。どんな人たちがタムロンの交換レンズを作っているのだろうか。私だけでなく皆さんも、きっとご興味があるだろうと思った。そこで社員紹介。
   ただし数多くの従業員の方々を紹介することはとてもできないので、そのうちの10人ほどのかたに「代表」になってもらい、担当の職場で写真を撮らせていただき、お話しも少しうかがった。
   以下、ご紹介をしたい。
 

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伍冬梅(ウ・トンメ)さん。レンズ研磨工程を担当。

勤続14年になる31歳のベテラン。研磨機械のセッティング、調整の責任者でもある。ほとんどの研磨機械に精通しているという"職人さん"だ。研磨された製品の品質管理も任されている。後方に見えるのはレンズ磨きの最終作業である「研磨工程」の機械。ここでガラスレンズは美しい透明状態に仕上げられる。
 

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顔嬌(ヤン・ジャオ)さん。レンズ研磨工程を担当。

入社からまだ半年の新人。19歳と若いがとても勉強熱心で、向上心もあるという。将来が愉しみ。広東省北部の韶関市の出身。後に並ぶのは「精研削(スムージング)工程」のための機械。工場に納入されたガラス材は、まず荒摺され、次に精研削して、そして研磨工程で磨き上げられて写真レンズとなる。
 

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黄冬華(ファン・トンファ)さん。レンズ芯取り工程担当。

勤続11年めになる35歳のベテラン。芯取りとはレンズの周辺を削って中心光軸を正確に出すレンズにとって重要な加工。コーティング前の取り扱いに神経を使うレンズや、コーティングを済ませたレンズなどを扱う。黄さんは、芯取工程の班長。芯取機械の技術管理や制御ソフトの調整などをおこなう。後に見えるのは芯取りの機械。
 

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写真左、

梁偉業(リョウ・ウェイェ)さん。金属加工担当。

31歳で勤続年数は8年。金属の切削加工をおこなうNC旋盤を使った工程の現場管理者。
梁さんは、専門技術学校卒業後に、他の企業でNC旋盤関係の仕事を約2年ほどやったあと、仏山タムロン工場に入社。班長として若い人たちを指導している。

写真右、

区暁文(オウ・ショウェン)さん。金属加工担当。

勤続6年めになる28歳。機械専門の短大を卒業した後、金属技術者として仏山タムロン工場に入社した。NC加工工程の係長で、新型機種を立ち上げるときに機械のセッティングの最終責任の資格も持つ。
 

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劉炳輝(リュウ・ビンフェ)さん。プラスチック成形製造担当。

勤続年数が18年になるベテラン。40歳。仏山タムロン工場が稼働し始めたころからの社員だ。現在、部長代理の管理職にある。後方に並ぶ成形機械に金型をセットして、樹脂パレットを材料にして精密なレンズ鏡筒を生産する。劉さんには製品の品質には強いこだわりがあって、0.003mm以内の精度でプラスチック部品を生産できるように努力をおこたらないという。「いろいろな技術を習得したのも、会社の上司や同僚のおかげです。感謝しています」とのこと。
 

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黄志鵬(ファン・ジペン)さん。レンズコーティング工程担当。

勤続13年めになる40歳。コーティング工程のベテラン。係長職である。おもに技術管理などをおこなっている。特殊コーティングの機械の操作技能も持っている。黄さんの横にあるのが「傘」とよばれるもので、そこにレンズが並べられる。レンズが並んだ傘を後方に見えるコーティング釜に入れて、真空状態にした後にコーティング材をレンズ面に極薄に蒸着させる。
 

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孔惠珍(コン・フゥイチェン)さん。交換レンズ組み立て工程担当。

勤続年数6年めになる23歳。若いが行動力があって、いまは班長になっている。孔さんが手にしているのは、SPAF17~50mmF/2.8 XR Di II VC LD Asphericral [IF](B005)で、後方はそのB005の組み立てライン。組み立てラインの班長ともなれば、他のレンズの管理もできるし1人でレンズを組み上げることもできる技倆を持つ。
 

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謝土英(シェ・トゥイン)さん。レンズ組み立てラインで検査担当。

勤続年数は6年。性格の柔和な23歳で、指示されたことに真面目に取り組み即応する能力を持つと評判の女性。いま、おこなっている作業はSPAF17~50mmF/2.8 XR Di II VC LD Asphericral [IF](B005)のVC作動検査である。VCユニットはパーツとして部組みする工程でも慎重に検査されるが、さらにレンズに組み込んだ後に実際にカメラボディにセットして所定の条件を満たすかどうか何度もチェックをする。
 

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従業員紹介の番外編。
写真右は、

本社(大宮)取締役でもある張勝海(チャン・シェンハイ)さん。56歳。

海外生産担当役員で、中国・仏山工場の董事長でもある。大東文化大学の修士課程を卒業後タムロンに途中入社以降、19年のあいだずっと中国工場業務担当。仏山タムロン工場の立ち上げにかかわったあと現職。上海市出身でご家族を残して単身赴任。大声で早口の上海なまりの日本語を話す。

写真左は、

仏山タムロン工場の董事兼総経理の張凱(チャン・カイ)さん。50歳。

八代高専を経て長岡技術科学大学を卒業後、1993年にタムロンに入社。勤続23年。最初は機構設計の技術者として大宮本社で仕事を続け、中国工場が完成と同時に仏山に出向となった。北京市出身。ご家族と仏山市内に暮らす。「董事(くんじ)」とは中国の会社での役職名で、日本で言えば取締役に相当する。その取締役会の会長が董事長。「総経理」は社長にあたる。

 

tanaka田中 希美男(たなか きみお)

多摩美術大学・多摩芸術学園写真科を卒業後、フリーランスフォトグラファーに。おもにクルマの撮影を専門とするが、人物、風景、 スナップなど撮影分野は多岐に渡る。おもな出版書籍は「 デジタル一眼上達講座」、「 デジタル一眼 " 交換レンズ 入門」 ( ともにアスキー新書 )、「 デジタル一眼レフ・写真の撮り方」( 技術評論社 )、「 名車交遊録」 ( 原書房 ) 、「 名車探求」 ( 立風書房 )など。 写真展は多数開催。 現在、カメラやレンズ、写真関連の雑感を写真ブログ『Photo of the Day』や、twitter『@thisistanaka』で情報を発信中。

ホームページは『 http://www.thisistanaka.com/

「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ第9戦」が福岡県の博多湾で11月19日と20日の2日間開催されました。日本での同大会の開催は初めてで、テレビでも放映されたのでご存知の方も多いことでしょう。カタマランタイプ(双胴艇)のヨットで競うレースは、スピードと迫力を兼ね備えたもので、私たちがこれまで抱いていたヨットの概念を大きく覆すものです。

今回、日本チームとして15年ぶりの出場となる「ソフトバンク・チーム・ジャパン」の協力でアメリカズカップを撮影する機会が得られました。チョイスしたレンズは最新の「SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2(Model A022)」。広いズーム域、高速のAF、強力な手振れ補正機構、防塵防滴ボディ、そして高い描写特性とまさにこのレースのためにあるような超望遠ズームです。今回のタムロンレンズブログでは、Model A022で撮影したアメリカズカップ激戦の様子をご覧いただきたいと思います。

 

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疾走するアメリカチームのヨットを流し撮りで撮影しました。手ブレ補正機構「VC」のモードはMode 2を選択しています。ハル(船体)の中央から水面に突き刺している黒い板はダガーボードと言われるもので、ヨットを浮かび上がらせ水の抵抗を最小限にする役割があります。この浮かび上がった状態のことをフォイリングと言い、レースの醍醐味のひとつとなっています。

◎焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO:400

 

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ソフトバンク・チーム・ジャパン艇の黒いウイングセール(硬質帆)とジブ(前部の帆)が太陽の光を受けてギラリと輝いた瞬間を捉えました。撮影のために乗船したメディア艇は5トンほどのプレジャボートで、波浪の影響で終始揺れていましたが、強力でレスポンスのよい手ブレ補正機構「VC」の搭載で安定してカメラを構えることができ、シャッターチャンスを見逃すことはありませんでした。

◎焦点距離:450mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/2500秒 ISO:400

 

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高速のAFで正確に被写体へピントを合わせ続けるのもA022の特徴です。カメラ側のAFへの応答も極めて高く、ストレスなくピントを合わせることが可能です。突然のヨットの動きに対してもそのレスポンスのよさからピントが大きく外れデフォーカスとなってしまうことはほとんどなく、ストレスフリーで撮影に臨めました。

◎焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/640秒 ISO:400

 

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フォイリングして海面を滑走するソフトバンク・チーム・ジャパン艇とスウェーデン艇。フォイリング中のヨットの最高速は60kmにもなると言われています。今回の撮影ではA022、1本で臨みましたが、ズームレンジの広さに大いに助けられるとともに、レンズ交換の手間も必要とせず快適に撮影が行えました。

◎焦点距離:350mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/1600秒 ISO:400

 

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片方のハルの船首が水面に沈み込むほどの角度でコーナーを曲がるニュージーランド艇を捉えました。クルーたちが急いで次の体制を取ろうとしています。波や風の影響を受けやすいプレジャーボードからの撮影では、強力な手ブレ補正機構「VC」を持ってしても条件によっては効果が期待できないほど揺れることがあります。しかし、ちょっとでも安定した瞬間を見逃さずにカメラを構え直すとAFが速やかに被写体を再び捉え、同時に反応のよい「VC」のおかげで画面がすぐに落ち着き撮影を続行することができました。

◎焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/1000秒 ISO:640

 

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混戦のなかのソフトバンク・チーム・ジャパン艇。福岡での第9戦は残念ながら5位の結果でしたが(総合でも5位)、チームとしてスタートしたばかりであることを考えるとよく頑張ったと言ってよいと思います。簡易防滴構造の採用とレンズ最前面に撥水性に優れた防汚コートを施すため、多少の波しぶきがかかってもA022は安心。撮影に集中することができました。

◎焦点距離:500mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/1250秒 ISO:400

 

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レースは初日および二日目とも3レースずつ行われました。ヨットは「AC45F」と呼ばれるカタマランタイプで、カーボン製のスマートなバウ(船体)となっています。Model A022はズーム全域で解像感が高く、極めてエッジの高い描写が得られました。色収差もよく抑えられており、被写体の縁などに見受けられることの多い色付きも見られません。写真は開放からわずかに絞ったF/8で撮影していますが、周辺減光の発生は感じられず、満足できる描写が得られました。

◎焦点距離:600mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/1000秒 ISO:1000

 

『長い歴史を誇る世界最高峰のヨットレース、アメリカズカップ』

アメリカズカップは、1851年にイギリスで最初に開催された歴史あるヨットレースだ。レース名の“アメリカ”とは、そのときの優勝チーム名である。現在、レースはまず複数のヨットが競う「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」、そして「アメリカズカップ・チャレンジャーシリーズ」を経て、勝ち抜いた1チームが前回大会の勝利チームと対戦する本戦へと挑む。今回撮影したのはワールドシリーズ最終第9戦となるもので、2016年11月19日と20日の両日、福岡で開催され、アメリカ、イギリス、ニュージーランド、スウェーデン、フランス、そして日本の6チームが出場した。

 

『ソフトバンク・チーム・ジャパン』

その名のとおり携帯電話やインターネット関連でよく知られたソフトバンクがスポンサーのチーム。過去4回アメリカズカップの出場経験のある早福和彦がセーラー兼総監督としてチームをまとめ、ニュージーランドチームで実績を積んだディーン・バーカーがCEOを兼ねたスキッパーとしてチームを牽引する。ちなみに日本チームのアメリカズカップ出場は実に15年ぶり。ソフトバンク・チーム・ジャパンは総合5位の結果で「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」を終了したが、同チームの今後の活躍に大いに期待したい。

<取材協力>
ソフトバンク・チーム・ジャパン
http://softbank-team-japan.americascup.com/jp/home.html

 

ohura大浦 タケシ(オオウラ・タケシ)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般誌、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。写真展としては「盆地~もうひとつの記憶」(2006年3月コニカミノルタプラザ)、「Expression ~生き物たちの肖像~」(2013年4月エプサイト)、「蒼き刻 - Ink Blue Serenity in Tokyo - 」(2015年10月キヤノンギャラリー銀座ほか)など。公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

公式ホームページ
http://www.takeshiohura.jp/index.html

 

大浦タケシさんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2(Model A022)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/a022.html

レンズの向こう側に、ドラマがある。「2016年報道写真展」

2016年報道写真展テープカット在京の新聞社、通信社、放送局のカメラマンが加盟する「東京写真記者協会」主催の「2016年報道写真展」が、日本橋三越本店で開催中です。今年あった様々なニュース、リオオリンピック・パラリンピックをはじめとするスポーツイベントを写真で振り返る、年末恒例の写真展です。タムロンも協賛しています。感動間違いなしですので、ぜひお立ち寄りください!

開催日:ただいま開催中 2016年12月25日(日)まで 午前10時〜午後8時 ※入場無料 ※最終日は午後7:30まで
場所:東京日本橋 三越本店(本館7階)

写真展のホームページはこちら
東京写真記者協会のホームページはこちら

この写真展は、東京での会期終了後、以下でもご覧いただけます。

■静岡伊勢丹
2016年12月27日(火)~2017年1月3日(火)※元旦休業日を除く ※入場無料

■日本新聞博物館
2017年1月7日(土)~3月31日(金) ※月曜休館日を除く

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