TAMRON LENS BLOG

数年前にアイスランドの冬の幻想風景と水をテーマに、私は4週間かけて島を巡った。
極北の島として知られるアイスランドには広大な氷河と活火山が点在し、
まるで違う惑星に居るのかと錯覚するような荒野が続く。
地球の神秘を色濃く感じられ、
文明が触れることの無かったであろう氷河に守られた豊かな水がそこにはあった。
これまでにニュージーランドやアラスカで幾度も氷河は見ていたが、
この島の氷河には心の奥に語りかけてくるような何か特別な輝きを感じていた。

そんな私はその「特別な何か」を探るため、今冬再びアイスランドを訪れた。
2週間の滞在を氷河に充てる事を決めていた為、
島最大の氷河であるヴァトナヨークル周辺でじっくりと自然と向き合うためにキャンプ生活を選んだ。
前旅はアイスランドの自然の営みと外景を撮って島を一周したのに対し、
今回は先述の、輝きの奥にある精神性に迫ろうと、私はタムロン90mmマクロを選んだ。
朝11時頃にようやく昇る太陽は正午を回っても低いまま
午後2時を回る頃には地平線の向こうに沈んでゆく。
海の孤島であることや木々がほとんど生えていない大地の為1日中強風が吹き荒れることも珍しく無く、
滞在期間中は雨が続いた。
そんな環境での撮影はそれなりにハードな為、
防塵防滴を備えた機材は撮影を続ける中で大きな安心に繋がる。

私にとってこの90mmマクロは「フォーカスする」という言葉が実に似合うレンズだ。
気軽に散歩するレンズというよりは明確なテーマを想像し、その被写体に迫るのが面白い。
中望遠の単焦点は撮影者が最も動いて撮るレンズの一つ。
逆を言うならテーマと向き合う為に体と意識を被写体へと導いてくれるのだ。
単焦点のシャープな描写は自分が意図する被写体を明快に浮かび上がらせてくれ、
被写界深度が浅くなるマクロ撮影でも
じっくりと絞りこむことで(最小絞りはF/32)それまでとは違った表情が表れる。

マクロ撮影は通常三脚が必須となり撮影にやや手間のかかるイメージを持つ人も多いと思うが
精度の増したVC(手ブレ補正機能)とデジタル時代の恩恵に与り、
時には感度を上げて極北の低く薄暗い太陽の下で三脚無しで自由なアングルで撮影に臨んだ。
またこのレンズの高い解像力は風景撮影にもその高いポテンシャルを発揮する。
旅の中でふと巡り合う美しい光の風景をも確実に捉えた。
そして何より私はこのレンズの深みのある蒼の発色が好きだ。
氷河の深淵に迫る今回の旅に相応しく、
持ち帰った作品は時間が経つにつれ味わいを増していくかのように、
私の大切な1枚へと変わっていくのだ。

 

Photo_1

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/4.5、シャッタースピード 1/800秒、ISO 500

 

Photo_2

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/8、シャッタースピード 0.8秒、ISO 400

 

Photo_3

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/8、シャッタースピード 1/320秒、ISO 4000

 

Photo_4

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/3.5、シャッタースピード 1/400秒、ISO 4000

 

Photo_5

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/29、シャッタースピード 20秒、ISO 400

 

Photo_6

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/2.8、シャッタースピード 1/320秒、ISO 1250

 

プロフ写真遠藤 励(えんどう つとむ)

長野県大町市出身。スノーボードカルチャーに精通し雪山での撮影に特化。
90年代より世界各地の雪山を訪れ、多くの作品を発表しながらボードカルチャーの前線で活動。また、活動当初から写真に対する姿勢を「inner focus」(内面の焦点)と定め、アートフォトグラフィーやネイチャー、カルチャーなど躍動するこの星の輝きと命との調和も求めて旅を重ねている。作品集に「inner focus」(2015 小学館)がある。
オフィシャルHP: http://www.tsutomuendo.com

 

遠藤 励さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/f017.html

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