TAMRON LENS BLOG

皆さん、こんにちは。今年もタムロン・マクロレンズ フォトコンテスト、「ノンジャンルの部」の審査員をやらせていただきます岡本洋子です。身近な被写体を撮影するテーブルフォトは自宅で気軽に楽しめますから暑い夏にはぴったりですね。素敵な作品が撮れたらコンテストの「ノンジャンルの部」にぜひ応募してくださいね。

 

身近な被写体でテーブルフォトを楽しもう!

食べるのももったいないようなきれいな色と形の干菓子をいただいたので、食べる前に写真を撮っておこうと思いました。窓際のレースのカーテン越しに光が入るテーブルの上に壊さないようにそおっと干菓子を並べます。下にうちわを置いて和風なイメージにしてみました。窓辺から差し込む柔らかい夕方の光がやや赤みを帯びてレトロな色合いの雰囲気になりました。あとはどのように撮るか、アングルとフレーミングです。一つ一つの形がわかるように真上から俯瞰的に撮ることで一つ一つの干菓子の繊細な形や質感が描写できました。干菓子の入った入れ物全体は入れずにカットして動きを出しています。

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◎絞り優先AE F/8.0 シャッタースピード1/25秒 ISO1000 +1.3EV補正

 

夏らしい見た目も爽やかできれいなオレンジゼリーはテーブルフォトの被写体にぴったりです。平らなガラスのお皿の上にゼリーを置いて、オレンジ色がより映えるようにイタリアンパセリの葉っぱを真ん中に飾ってみました。窓際のダイニングテーブルの上に置いてガラスのお皿の下には網目模様のあるランチョンマットを敷きました。お昼時の太陽は窓を明るく照らし、逆光の光はゼリーの立体感や透明感を出してくれました。全体は入れずに斜めのアングルから縦でフレーミングすることで手前から奥への奥行き感も出ました。窓からの光が青味を帯びて夏のイメージにぴったりなクールな印象になりました。

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絞り優先AE F/3.8 シャッタースピード1/30秒 ISO100 +0.3EV補正

 

ジュエリーの撮影にも挑戦です。トンボの羽のブルーの石が印象的なペンダントトップを撮ってみました。光は窓辺の昼間の自然光を利用しています。透明なアクリルの板があったので、その上にペンダントを置いて、10㎝くらいのアクリルの板の下の隙間にピンク色の皺のテクスチャーのある紙を敷いて背景に利用しました。紙の上に直接置いたわけではないのでジュエリーの平面性を保ちつつ背景との距離が適度にあるので皺の表情も出て面白い効果になりました。ジュエリーの硬質な輝きを出すためにボカさずにF/18まで絞り込んで撮っています。

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絞り優先AE F/18 シャッタースピード1/6秒 ISO100 +0.3EV補正

 

貝殻で作った面白い形のピアスがあったので、それを飾りの額にぶら下げて撮ってみることにしました。窓辺に木のトレーを置いてレースのカーテンを引いて背景にしています。木の板はトレーを逆さまにして荒い木目を利用しました。レフ版を使っただけでは手前からの光が暗く貝殻の虹色の輝きが出なかったのでクリップオンストロボを使って光を手前から当ててみました。ストロボの発光体の部分には据え付けのディフューザーを使い光を柔らかくしていますが、バウンスさせずに正面から当てて素材から光を反射させています。イメージ通り貝殻の複雑な模様が浮かびあがりました。絞りはあまり絞らずに手前のピアスだけにピントを合わせ、あえて後ろのピアスはボカしています。

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絞り優先AE F/8.0 シャッタースピード1/80秒 ISO100 -0.3EV補正  ストロボ発光

 

100円ショップで買った小さな木の椅子とテーブルを小道具として使ってみました。テーブルの下に敷いたのは英字新聞が印刷されたラッピング用紙です。奥行きを持たせるために工夫をしてみました。テーブルの上には主要被写体のネックレスを置いてその後ろの椅子にはインコに似せて作った模型があったのでそれを置いてみました。手にとってみるといかにもという作り物に見えますが、背景でボカしてしまえば粗も見えません。被写体の距離とレンズの絞りをコントロールして上手くボカして奥行き感がでました。逆光気味の光線なので被写体が暗くならないように露出はプラスに補正しています。

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絞り優先AE F/5.0 シャッタースピード1/15秒 ISO100 +1.0EV補正

 

テーブルフォトは特別にどこかへ出かけなくても身近にある素材を被写体に、ちょっとした工夫をすれば誰もが楽しめる撮影手法です。そしてそこで活躍するのが被写体に近づけるマクロレンズです。単焦点のレンズならではの明るい開放値と描写の良さも魅力です。小さな被写体を大きく写すことで、細部の質感も見えてきます。また近寄ることによって大胆にボカしたりとボケ味の表現がコントロール可能です。テーブルフォトの撮影を楽しむときに、光は窓辺から射す自然光を利用するといいでしょう。逆光気味になり手前が暗くなるのでこれを補うのにレフ板を使ったり、プラスに補正するのもコツです。時間帯によっては光の色も変わってきますし、室内光も利用するのであれば、ホワイトバランスもオートがいいのか、いろいろとイメージに合わせて調整してもいいでしょう。あとは背景にくるものや小物を上手く活用して楽しく撮れたらいいですね。身近な被写体を利用してテーブルフォトに挑戦してみてください。そして素敵な写真が撮れたら、ぜひマクロレンズ フォトコンテストの「ノンジャンルの部」に応募してくださいね。

 

okamoto岡本洋子(おかもと・ようこ)

東邦大学生物科を卒業。12年間の会社勤務の後、日本写真芸術専門学校にて写真を学ぶ。卒業後は秋山庄太郎氏のアシスタントを務め、独立フリーへ。現在、花や植物、風景を主に撮影。各種撮影会や写真教室講師を務める。

女子美術大学非常勤講師
日本写真協会会員(PSJ)
日本自然科学写真協会会員(SSP)
フェイスブック https://www.facebook.com/yoko.okmoto.5

 

岡本洋子さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)製品ページ

 

岡本洋子さんが審査員をつとめるタムロン主催のフォトコンテスト
詳細についてはこちら:募集期間は5月15日~10月15日
第14回 タムロン・マクロレンズ フォトコンテスト 詳細ページ

タムロン・マクロレンズ フォトコンテスト「ネイチャーの部」の審査を担当させて頂いて今年で3回目になりました。身近な足元の小さな自然をテーマに活動している、マクロの伝道師・石井孝親です。

第12、13回と「ネイチャーの部」の審査を担当して思ったことは、花ならコスモス、チューリップ等、昆虫ならアゲハチョウ、アカトンボ等、「フォトコンテストの定番」という被写体が多く、「もう少し視野を広げ里山などに行けば、もっとフォトジェニックな花、昆虫など被写体は沢山あるのになあ!」ということです。

ネイチャーフォトの醍醐味は、自然と触れ合いながら野山を歩き、被写体を発見して「ありのままの自然の姿」をカメラに収めることです。花や昆虫は被写体に直接触れて演出しやすいのですが、童心に返り野山を歩き被写体を探せば、自然の神秘や造形的な自然の美しさに気づく筈です。
演出する技術を磨くのではなく、「被写体の生態」「光の生かし方」「フレーミング」等の被写体と撮影技術の両方を学ぶことが大切です。

ありのままの自然の姿を撮影して気に入った写真が撮れた時の「よし、良いのが撮れたぞ!!」という満足度を皆さんにも味わってもらいたい。ありのままの自然の姿を、ストレートに捉えた写真の応募を期待しています。

 

SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD (Model F017)を使って1年以上が経ちましたが、角度ブレ、シフトブレの両方に対応した手ブレ補正機構「VC」はかなり強力で、足場が悪く三脚が使えない時に有難さを実感します。私は朝露をまとった野原で撮影することが多いのですが、レンズ本体に水滴が付いた状態でピントリングを回しても、レンズ内に水分が入って故障したことは無いので、「防塵防滴構造」の効果も高く、しっかりとフィールドでプロの酷使に耐えてくれます。

皆さんも新型タムロン90mm F/2.8マクロ(F017)を持って野山を歩いてみましょう!

 

春の訪れ(モミジの花)

春の訪れ(モミジの花)

◎SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)
絞り優先AE F/5.6 シャッタースピード1/100秒 ISO800 +0.3EV補正

若葉を広げたモミジの葉下に、とても小さくて目立たないけど、可愛らしい花が沢山咲いていることに気づきました。開放撮影ではモミジの葉がボケてしまうのと背景が単調になりすぎるので、開放から2段絞ってF/5.6で撮影することで背景に玉ボケを散りばめました。
円形絞り採用のレンズなので、玉ボケも美しい。「マクロレンズ = 開放」の図式では写真が単調になります。初心者の方は撮影時に毎回、絞り値を段階的にF/2.8・4・5.6・8・11と変えて撮影して描写の違いを比べてみると良いです。

 

光のリズム(ネモフィラ)

光のリズム(ネモフィラ)

◎SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)
絞り優先AE F/4 シャッタースピード1/2000秒 ISO400 -1.0EV補正

ネモフィラの写真はハイキー調の明るめの写真は一般的すぎて面白くないので、朝露がうっすらと花びらとカーブした茎に残ったポイントに着目して、造形的にフレーミングしてみました。暗い背景の場合、無補正だと暗い背景に露出がひっぱられてシャッタースピードが遅くなり、肝心の花が白っぽく露出オーバーに写ってしまうので、-1.0EV補正して撮影しました。画面隅に玉ボケが入る場合、開放撮影では口径食の影響で玉ボケがレモン型になりがちです。これを防ぐ為に1段絞り、F/4で撮影しました。

 

朝の出来事(朝露をまとったタンポポの綿毛)

朝の出来事(朝露をまとったタンポポの綿毛)

◎SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)
絞り優先AE F/8 シャッタースピード1/200秒 ISO400 +1.3EV補正

朝露で輝く野原の片隅でタンポポの綿毛を見つけました。しゃがんでマクロレンズで覗いてみると、綿毛にキラキラと朝露が輝いて、まるで宝石のような輝きでした。ピントを合わせた朝露の付いた綿毛をシャープに見せる為と、被写体全体がタンポポの綿毛であることを分かりやすくする為に絞り値をF/8にして撮影しました。タンポポの白い綿毛を撮影する時は、ハイライトに少し白飛び警告表示が出始めるくらいの露出で撮影しています。
私はフィルムカメラ的な撮影方法で、レタッチは必要最小限に心掛けています。

 

林の番人(マムシグサ)

林の番人(マムシグサ)

◎SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)
絞り優先AE F/4 シャッタースピード1/30秒 ISO400 +1.0EV補正

林に咲くマムシグサは、蛇が鎌首をもたげているような姿をしている為にカメラを向ける人は少ないのですが、正面から狙い透過光を生かして少し引き気味に写すと、グロテスクな花の感じは消えます。引き気味にすることで背景が生きてくるのですが、F/4に絞り口径食を緩和して美しい玉ボケを画面全体に散りばめ、針葉樹をバランスよく配置しました。フレーミングを決める時は、被写体だけに集中しないで、画面全体で決めることが大切です。尚、ファインダー内ではF4に絞っても開放のF2.8の状態で見えるので、プレビューボタンを押してF4のボケを再現して確認しています。

 

一滴の命(ムラサキツユクサと朝露)

一滴の命(ムラサキツユクサと朝露)

◎SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)
絞り優先AE F/11 シャッタースピード1/50秒 ISO1600 +0.7EV補正

ムラサキツユクサの美しさを生かす為には、朝露と対比させる為に早朝に撮影することが大切です。今にも「ポロッ」と朝露が落ちそうな状態だったので、三脚をセットしている余裕はなく手持ちで撮影しました。ピントは「点ではなく面」で合うので、二つの朝露とツユクサがカメラと平行になるカメラアングルを丹念に探して撮影しました。
朝露の質感を最大限に生かす為にF/11まで絞りこんで撮影してシャープに捉えました。手ブレする目安は「1/焦点距離」なのですが、1/50秒の低速シャッターでも手ブレはしませんでした。これも角度ブレ、シフトブレの両方に対応した強力な手ブレ補正機構「VC」を搭載しているからです。風などによる被写体ブレが全く無い状態なら、1/15秒前後の低速シャッターでも手持ちで撮影可能の、私イチオシの高性能マクロレンズです。

 

妖精の微笑み(ユウゲショウ)

妖精の微笑み(ユウゲショウ)

◎SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)
絞り優先AE F/4 シャッタースピード1/500秒 ISO400 +1.0EV補正

ツキミソウの仲間の「ユウゲショウ」ですが、昼間花を開いています。背景にアクセントとして入れた玉ボケは、背景にある朝露がボケたものです。この写真のポイントは、花と滴の両方にピントが合っているところで、ムラサキツユクサの写真と異なり絞り値はF/4と被写界深度は極めて浅いので、シベと滴の中に映りこんだ風景の両方にピントを合わせるのが難しかったです。ピントは「点」ではなく「面」で合うのです。
一味違った写真を写したいのなら寝坊は禁物です!夏場の日の出は4時30分前後なので、近所の里山に行く時でも3時30分には起きています。もう何度も書いていますが、「早起きは三文の徳」どころではなく「早起きは百文の徳」です。
皆さん、早起きして良い写真をゲットしてください!

 

ishii石井 孝親(いしい・よしちか)

1967年9月、横浜生まれ。東京写真専門学校卒業後、写真館勤務。
2000年4月から自然写真家として活動開始。現在、身近な足元の自然をテーマに、写真展、写真雑誌、カレンダー等で幅広く活躍中!
写真集に「光と彩の季節・日本カメラ社」、花撮影の技術書に「光を生かす花撮影術・日本カメラ社」など。自ら主宰する「フォトクラブ光と彩」で横浜、東京にてアマチュア写真家の指導にも力を入れている。

 
●キヤノンギャラリーにて写真展「小さな自然との触れ合い」開催のお知らせ
銀座:2017年10月26日(木)11月1日(水)
大阪:2017年11月9日(木)~11月15日(水)
福岡:2017年11月24日(金)~12月5日(火)
名古屋:2017年12月21日(木)~12月28日(木)

●テレビ出演のお知らせ
NHK:Eテレ「趣味の園芸」ミニコーナー【花・遊・美】
①7月放送のテーマ 「熱帯・エキゾチック」ハイビスカス:7月2日(日)朝8時30分~
②8月放送のテーマ 「夏の花」ヒマワリ:8月6日(日)朝8時30分~

 
石井孝親のネイチャーフォト(ホームページ)
http://www2.ttcn.ne.jp/~naturephoto/

自然写真家・石井孝親のネイチャーフォト(facebookページ)
https://www.facebook.com/naturephoto.ishii

 

石井孝親さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/f017.html

第14回 タムロン・マクロレンズ フォトコンテスト
募集期間は5月15日~10月15日、コンテストの詳細についてはこちら:
http://www.tamron.jp/special/contest/macrocon2017/

ここ数年の間、伯母が家元を務める「松香庵流(しょうこうあんりゅう)」という
煎茶道の流派の撮影をさせてもらっている。

この日は年始の恒例行事、初煎会。
お抹茶で言うところの「初釡」にあたるのだろう。煎茶道の稽古初めである。
会が行われるのは足利時代に建てられた古民家を利用した料理屋ということもあって、
非常に貴重な機会だ。

幼い頃から何度も来たことのある場所だが、写真を撮る側へ回ってみると見方が変わってくるものだ。
回り廊下があるため、外光自体は四方から入る設計にはなってはいるが、
現代の家屋に比べると圧倒的に暗い。
また、梁や柱、障子や畳などの直線的な構成物が多いことから、
歪みの強く出るレンズは向かないため、毎年レンズ選びには悩むところである。

今回は歪みの出にくい画角、さらに手ブレ補正が搭載された
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD を 使用することにした。
今までは広角~長くても75mm相当のレンズを使用してきたため、
90mmという画角は非常に新鮮であった。
ぐっと被写体に迫りつつも、ボケは非常になだらかでとにかく上品な印象。
和の雰囲気に見事にマッチした描写だ。
大口径でありながら軽めなレンズ重量も、女性には嬉しい点。
日常使いしたくなる、上質なマクロレンズである。

 

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ほのかなぬくもりがうれしい囲炉裏。釡から立ち上がる湯気を優しく描写している。

◎焦点距離:90mm 絞り:F/3.2 シャッタースピード:1/40秒 ISO:3200

 

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古いガラスの向こうにはお正月らしい紅白の梅。

◎焦点距離:90mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/80秒 ISO:160

 

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開放でもピント部分はきりっとシャープな描写。手ブレ補正に助けられた場面は多かった。

◎焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/40秒 ISO:3200

 

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床の間に飾られた、生け花の薔薇にフォーカス。マクロレンズならではの花びらの表情である。

◎焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/80秒 ISO:1250

 

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茶会で振る舞われる、この時期ならではの花びら餅。
求肥の柔らかな質感と陶器の艶そのままに写し出してくれた。

◎焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/100秒 ISO:125

 

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茶会中の一枚。暗い場面でも着物の絹の質感と立体感がよく描写されている。

◎焦点距離:90mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/100秒 ISO:640

 

大門 美奈(だいもん・みな)

1977年神奈川県横浜市出身。茅ヶ崎市在住。公募展をきっかけに2011年より写真家として活動をはじめる。第1回キヤノンフォトグラファーズセッションファイナリスト。無印良品、アパレルブランド GARDÉ COLLECTIVE とのコラボレーション企画等にも参加。主な写真展に「Portugal」(2011)、「本日の箱庭展 -the Miniature Garden-」(2013)、「The Collection」(2016)写真集に『Al-Andalus』(2014)がある。

ウェブサイト
http://www.minadaimon.com

 

大門美奈さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/f017.html

数年前にアイスランドの冬の幻想風景と水をテーマに、私は4週間かけて島を巡った。
極北の島として知られるアイスランドには広大な氷河と活火山が点在し、
まるで違う惑星に居るのかと錯覚するような荒野が続く。
地球の神秘を色濃く感じられ、
文明が触れることの無かったであろう氷河に守られた豊かな水がそこにはあった。
これまでにニュージーランドやアラスカで幾度も氷河は見ていたが、
この島の氷河には心の奥に語りかけてくるような何か特別な輝きを感じていた。

そんな私はその「特別な何か」を探るため、今冬再びアイスランドを訪れた。
2週間の滞在を氷河に充てる事を決めていた為、
島最大の氷河であるヴァトナヨークル周辺でじっくりと自然と向き合うためにキャンプ生活を選んだ。
前旅はアイスランドの自然の営みと外景を撮って島を一周したのに対し、
今回は先述の、輝きの奥にある精神性に迫ろうと、私はタムロン90mmマクロを選んだ。
朝11時頃にようやく昇る太陽は正午を回っても低いまま
午後2時を回る頃には地平線の向こうに沈んでゆく。
海の孤島であることや木々がほとんど生えていない大地の為1日中強風が吹き荒れることも珍しく無く、
滞在期間中は雨が続いた。
そんな環境での撮影はそれなりにハードな為、
防塵防滴を備えた機材は撮影を続ける中で大きな安心に繋がる。

私にとってこの90mmマクロは「フォーカスする」という言葉が実に似合うレンズだ。
気軽に散歩するレンズというよりは明確なテーマを想像し、その被写体に迫るのが面白い。
中望遠の単焦点は撮影者が最も動いて撮るレンズの一つ。
逆を言うならテーマと向き合う為に体と意識を被写体へと導いてくれるのだ。
単焦点のシャープな描写は自分が意図する被写体を明快に浮かび上がらせてくれ、
被写界深度が浅くなるマクロ撮影でも
じっくりと絞りこむことで(最小絞りはF/32)それまでとは違った表情が表れる。

マクロ撮影は通常三脚が必須となり撮影にやや手間のかかるイメージを持つ人も多いと思うが
精度の増したVC(手ブレ補正機能)とデジタル時代の恩恵に与り、
時には感度を上げて極北の低く薄暗い太陽の下で三脚無しで自由なアングルで撮影に臨んだ。
またこのレンズの高い解像力は風景撮影にもその高いポテンシャルを発揮する。
旅の中でふと巡り合う美しい光の風景をも確実に捉えた。
そして何より私はこのレンズの深みのある蒼の発色が好きだ。
氷河の深淵に迫る今回の旅に相応しく、
持ち帰った作品は時間が経つにつれ味わいを増していくかのように、
私の大切な1枚へと変わっていくのだ。

 

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◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/4.5、シャッタースピード 1/800秒、ISO 500

 

Photo_2

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/8、シャッタースピード 0.8秒、ISO 400

 

Photo_3

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/8、シャッタースピード 1/320秒、ISO 4000

 

Photo_4

◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/3.5、シャッタースピード 1/400秒、ISO 4000

 

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◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/29、シャッタースピード 20秒、ISO 400

 

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◎焦点距離 90mm、マニュアルモード、絞り F/2.8、シャッタースピード 1/320秒、ISO 1250

 

プロフ写真遠藤 励(えんどう つとむ)

長野県大町市出身。スノーボードカルチャーに精通し雪山での撮影に特化。
90年代より世界各地の雪山を訪れ、多くの作品を発表しながらボードカルチャーの前線で活動。また、活動当初から写真に対する姿勢を「inner focus」(内面の焦点)と定め、アートフォトグラフィーやネイチャー、カルチャーなど躍動するこの星の輝きと命との調和も求めて旅を重ねている。作品集に「inner focus」(2015 小学館)がある。
オフィシャルHP: http://www.tsutomuendo.com

 

遠藤 励さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/f017.html

桜と言えば春の代表的な花ですが、冬の寒空にピンク色のきれいな桜が咲いていました。花も大振りでピンク色も濃く花付きもいいようです。なんという名前かしらと思って樹名板を見てみると“ヒマラヤザクラ”とありました。50年くらい前にネパールの皇太子より贈られた桜だそうです。花芯も長くアップにして撮るのも面白いと思いマクロで狙ってみました。背景の色は赤く色づいた紅葉の葉っぱです。秋色を背景に、ピントは大振りのシベに合わせ絞り過ぎず開け過ぎずとF/8で撮りました。三脚は使えなかったので、手ブレ補正機能を活用して風に揺れる被写体を捉えるために何度かシャッターを切りました。新しい手ブレ補正機能は大いに役立ってくれました。

冬のさくら

冬のさくら

◎焦点距離90mm 絞り優先AE F/8.0 シャッタースピード1/400秒 ISO400 +1.0EV補正

 

冬になると鮮やかな葉っぱや花が減って、樹々は枯れて葉っぱは落ちます。そうすると枯れて残った葉っぱが目立つようになって面白い被写体になります。日の当たった枯れた葉っぱの表面に手前の小枝の影が黒く映っています。これは光がなければ存在しない、光が作り出したアート作品を撮らせてもらったものです。周囲の色も枯草色のシックな茶色でまとめることができました。カメラと葉っぱがなるべく平行になる位置を探して、絞りはあまり絞らずに撮りました。枯れた葉っぱが光で輝いて渋い革のような質感です。このような質感が描写できるのもマクロレンズならではだと思います。

影模様

影模様

◎焦点距離90mm 絞り優先AE F/4.2 シャッタースピード1/1250秒 ISO800 +0.3EV補正

 

なんという葉っぱかわかりませんが、枯れて小枝に引っかかってぶら下がっていました。風に吹かれてゆらゆらと揺れていましたが、オートフォーカスで右側の葉っぱにピントを合わせて撮りました。オートフォーカスも素早くピシッと合い気持ちいいですね。主役が地味な色合いなだけに背景にくる色は意識して、緑の葉っぱや赤い花の色をぼかしてアクセントに利用しています。枝に引っかかる小枝の位置を三分割上に配置して葉っぱの右側の空間が空くようにフレーミングし、柔らかい背景から葉っぱが浮かび上がるように撮りました。ピントの合ったところはシャープで、それでいてとろけるようなボケの美しさは明るい開放値のマクロレンズならではですね。

風に吹かれて

風に吹かれて

◎焦点距離90mm 絞り優先AE F/3.5 シャッタースピード1/250秒 ISO800 +0.3EV補正

 

冬ならではの被写体の一つにイルミネーションがあります。暗くて撮るのが難しいイメージがありますが、光そのものは明るいので露出オーバーにならないようにアンダー目に撮ればライトの色もきれいに撮れます。イルミネーションは光の玉ボケがファンタジーに表現できますから、玉ボケができる位置を探して撮りました。前景に玉ボケになるツリーの光を大きく入れて中景のツリーの光がそれよりは小さく、一番奥にピントを合わせた主役の女神のイルミネーションを重ねて玉ボケの光をまとうようにフレーミングしました。玉ボケをやわらかくしたかったので絞りは開放で。

光の女神

光の女神

◎焦点距離90mm 絞り優先AE F/2.8 シャッタースピード1/30秒 ISO100 -0.7EV補正

 

イルミネーションは色々なフィルターを使うことで面白い効果が得られます。これはソフト効果とクロスの光条効果のあるクロスフィルターを使っています。光条の方向はフィルター枠を回すことで好きな位置に変えられます。丘の上を歩く人物のシルエットを、斜面に広がる緑色の光と赤い背景のイルミネーションで挟んでソフトクロスを効かすことで非現実的な、夢のような雰囲気になりました。二人連れの人物が来るまで待ってちょうどいい位置でレリーズしています。90㎜のマクロレンズは開放絞りの明るい単焦点レンズとしても活躍するので、暗い場面でもピント合わせやフレーミングのしやすさは抜群です。

夢の中

夢の中

◎焦点距離90mm 絞り優先AE F/6.3 シャッタースピード1/13秒 ISO1600 -1.0EV補正

 

普段、花や植物を撮る私にとって、冬というのはちょっと変わった被写体が撮れる面白い季節なのです。普通に考えれば花や緑もないし、何を撮ればいいの?っていうことですが、冬になれば樹々の葉っぱが落ちて樹形や枝が目立ってきます。また生い茂っていた緑がなくなり背景がシンプルになってきます。フォトジェニックな乾燥して枯れた葉っぱや質感の面白い被写体がそこかしこにあって、上手く背景と組めばそれこそアートな作品に仕上がります。花だって実や種になって面白い被写体です。主役の色合いは渋くて地味目ですが、背景に光や明るい色をもってくれば十分美しい作品になります。小さな被写体が豊富な冬の時期はマクロで寄って撮るのが面白いのです。また冬の風物詩、イルミネーションも最近では色々なところで開催されて身近な被写体になりました。マクロレンズの明るい開放値と柔らかなボケを活かしてファンタジーな表現が可能です。外は寒いですけど冬ならではの被写体を見つけにでかけましょう。北風に負けないように!

 

okamoto岡本洋子(おかもと・ようこ)

東邦大学生物科を卒業。12年間の会社勤務の後、日本写真芸術専門学校にて写真を学ぶ。卒業後は秋山庄太郎氏のアシスタントを務め、独立フリーへ。現在、花や植物、風景を主に撮影。各種撮影会や写真教室講師を務める。

女子美術大学非常勤講師
日本写真協会会員(PSJ)
日本自然科学写真協会会員(SSP)
フェイスブック https://www.facebook.com/yoko.okmoto.5

 

岡本洋子さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD(Model F017)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/f017.html

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