TAMRON LENS BLOG

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「ワイドズーム10-24㎜でマルタ島を撮る」も今回が6回目になり最終回です。この6回を通してみなさんにもっとも伝えたかったことは、超広角ズームは決して特別なレンズではなく、誰もがごく普通に使えるレンズだということです。望遠やマクロに比べると超広角は馴染みがないので、ちょっと特殊な気がしてしまうのも無理はありません。

遠くて肉眼では小さくしか見えないものを大きく見たいという欲求は誰でもあります。それをかなえてくれるのが望遠レンズです。望遠レンズの基になった望遠鏡の歴史は古く、ガリレオが作ったのは1609年といわれています。小さくて肉眼でははっきり見えないものを大きく見たいという欲求も人が生まれながらに持っているものです。マクロレンズの大元ともいえる虫めがねは、紀元前6世紀の遺跡から出土されています。

ところが世の中には、広角レンズの基になるような広い視野が得られる光学的な道具は歴史的に見当たりません。人は肉眼で広い世界を見渡すと頭の中でその広さが合成できるからでしょうか。でも頭の中で合成した広さとレンズを通してダイレクトに見える広さはまったくの別物です。その魅力を知ってしまったら手放せなくなるのが広角レンズなのです。

 

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マルタ島の家はドアや窓に色を塗り綺麗に装飾します。建物の撮影が好きな人には被写体の宝庫です。でもドアや窓だけを切り取っているとカタログの写真のようになってしまいます。窓の反射が路面に映っていたのでそこも取り入れました。画角が広いワイドズームだからできたことです。

◎焦点距離:12mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100

 

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綺麗な窓の装飾が夕陽で照らされています。面白いのは影です。反対側の建物のシルエットがはっきりと写し出されています。写真は光と影で作られるものです。ですが、影は気をつけないと見過ごしてしまうことも珍しくありません。ほんのちょっとの注意力が必要です。正面からではなく斜めから撮ることで奥行き感も表現しました。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:100

 

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首都ヴァレッタの海沿いにある建物です。光が当たっているところと影のところがあります。立体的に見えるのは大切な要素ですが、描写の硬いレンズだと明るい側がとんだり、暗い側がつぶれたりします。タムロンのレンズは諧調が豊富なので見た目通りの自然さで再現してくれました。

◎焦点距離:14mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100

 

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マルタ島の古都イムディーナです。かつては首都でもあったところで、中世の街並みを保っている城塞都市です。「静寂の町」の異名もあります。マルタ島は太陽の光に溢れています。湿度が低くカラッとして暑いですが、気持ちのいい暑さです。そんな空気感を写し撮りたくでシャッターをレリーズした1枚です。澄んだ空気が伝わるでしょうか。

◎焦点距離:13mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

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5回目に紹介したレストランのあるBugibbaで撮りました。なにか懐かしい雰囲気。そうです。昭和を感じさせるものがあります。マルタ島が日本で人気になりつつあるのは、こんな景色があちこちにあるからかなと思います。10mmで赤色のパラソルと対比ができるようなるべく多くの空と雲を取り入れました。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

 

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ヴァレッタにはたくさんのカフェがあります。ここは老舗で大きなカフェです。日中の暑いときはよくこの店で休憩しました。飲んでいるのはリンゴから作ったシードルです。アルコール度数は低くジュース的な味わいです。立派な内装なので背景が伝わるように低い位置から写しています。

◎焦点距離:12mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:1600

 

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3回目に登場した国立考古学博物館で撮りました。ごく普通の階段ですが、柔らかな光が回っていてなんともいえない優しい感じです。また黄色という色もいいです。被写体はどこにでもあるものです。でもそれに対応するレンズを持っていなければ写すことはできません。ワイドズームを持っていたから狭い場所でも写すことができたのです。

◎焦点距離:16mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:320

 

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マルタ島を発った日はフランクフルト経由でデュッセルドルフに向かいました。フランクフルトでターミナルの移動をするときの地下通路です。どこまでも続く長い通路。幼いころに見たアメリカのTVドラマ「タイムトンネル」を思い出しました。レンズの歪み(ディストーション)がなくすべてのラインが真っ直ぐに中央に向かって行きます。手ブレ補正機構「VC」のおかげで暗くても鮮明に写し撮ることができました。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:250

 

最終回なので、マルタ島のあちこちで撮影した写真を見ていただきました。

いかがですか。ほら、ワイドズームはもう特殊なレンズではなくなりましたね。望遠、マクロに次ぐ第三のレンズが広角です。タムロンの10-24㎜で身近だけど新しい世界へデビューしましょう。

それでは、また!

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ

 

「ワイドズーム10-24mmでマルタ島を撮る」の第1回からの記事はこちらからご覧下さい。

第1回 10mmと18mmのちがい、10mmと24mmの使い分け
第2回 超広角ズームで撮りたい被写体と画面構成
第3回 超広角ズームでもVCはありがたい
第4回 マルタの猫
第5回 マルタで料理撮影

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タムロンのワイドズーム10-24mmは、日常の記録写真を撮るのにも最適です。旅行の楽しみのひとつに食事があります。スマホが一般化してからレストランで料理の写真を撮っている人を見かけることが多くなりましたが、カメラならもっと美味しそうに撮ることができます。しかも10-24mmは手ブレ補正のVCを備えています。レストランは暗いところも多いので、手ブレ補正はぜひともほしい機能です。

マルタ島にはマルタ料理もあり、代表はうさぎの煮込みです。うさぎも美味しいですが、えー!うさぎ、と思われる方はイタリアンがおススメです。イタリアは近いのでマルタへ移り住んだ人も多く、美味しいイタリアンがたくさんあります。Bugibbaという街に気に入って2度行ったAcqua Marinaというレストランがあるので、その店の料理を見てください。

料理を撮るのには何mmで撮るのがいいでしょう。10-24mmは画角変化が大きいレンズだと第1回目に書きましたが、実は10mmでも24mmでも撮れます。より立体感があるように周囲まで含めて写したければ10mm側、料理だけをあっさり撮りたければ24mm側を使うといった使い分けです。

 

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この写真は11mmです。パンにざく切りのトマトとオリーブオイル、ニンニクなどを絡めて載せたイタリアの前菜です。11mmなので画角が広くテーブル全体をカバーできています。トマトがキラキラ光って見えるのは、この日は天気がよく外光が溢れるように入っていたからです。

◎焦点距離:11mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:220

 

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同じ料理ですが、別の日に24mmで撮りました。この写真の方がサラッとしたイメージです。この日は奥のテーブルへ座ってしまったので外光があまり届きませんでした。トマトがキラキラしないのはそのためです。料理の撮影では座る場所は大切です。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:800

 

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Acqua Marinaの店内から外へ向かって写した写真です。焦点距離は13mmです。歪み(ディストーション)が抑えられているので嫌味がなく写されています。料理だけでなく店内も撮っておきましょう。

◎焦点距離:13mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:800

 

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ファインダーをのぞくとシャッター速度は1/13秒です。手ブレ補正機構「VC」のおかげでブレずに撮れました。ところで、なにを料理したものでしょうか。いまひとつわかりませんね。そうなんです。和えた料理はわかりにくいときが多いのです。オリーブのような丸いものがいくつか入っていて、味付けはトマトらしいことはわかります。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/13秒 ISO感度:800

 

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こんなときはお皿を回してみましょう。素材の特長的な部分が見えてくることもあります。ほら、タコの吸盤が現れました。外国ではタコを食べないと思われがちですが、イタリア、スペイン、ポルトガルではタコを食べます。マルタもタコが獲れるのでタコの煮込みはマルタ料理です。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/10秒 ISO感度:800

 

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メインが運ばれてきました。手前はフライの盛り合わせです。イカとイワシのような小魚です。奥の料理までピントが合っていません。これは広角であってもアップにするとピントが合う奥行きが浅くなってしまうからです。ピントの合う奥行きを深くするには絞り込めばいいのですが、今の撮影条件はISO感度800で、シャッター速度は 1/6秒と遅いです。VCを備えていても、これ以上は手ブレを考慮すると絞り込めないのです。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/6秒 ISO感度:800

 

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慌てることはありません。1枚に収めようとせずに2枚に分けたらよいのです。奥の料理の丸く平べったいのはラビオリです。普通のラビオリよりかなり大き目です。これはマルタ料理です。シーフードもたくさん載っています。素晴らしい美味しさでAcqua Marinaの看板料理です。

◎焦点距離:11mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:320

 

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10-24mmの最短撮影距離は0.24mと短いのでもっと近寄ることもできます。近寄ればそれだけ迫力は出ます。好みに応じて撮影距離を決めてください。ですが、あまり近寄り過ぎてうっかりレンズが料理に付かないように気をつけてください。防汚コートを採用しているのでオリーブオイルも綺麗に拭き取ることができますが、レンズは汚さないことが一番です。

◎焦点距離:11mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:500

 

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帰るときにAcqua Marinaのご主人Carloさんが店の前まで見送ってくれました。優しい笑顔です。人柄の良さが料理に反映されています。美味しいのもうなづけます。24mmはこんなシーンでもピッタリの画角です。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:180

 

レストランで料理を撮るときに心がけたいことは、ほかのお客さんへの気配りです。席から立ち上がって写したり、ストロボを何度も発光させるのは控えたいものです。そもそも料理の写真を撮るのにストロボは必要ありません。昼間なら窓際の席へ。夜なら照明のしっかり当たっている席に座りましょう。

 

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■Acqua Marina
160 St Anthony Street, Bugibba, Island of Malta SPB 356, Malta
TEL +356 2703 4933
https://www.facebook.com/acquamarinamalta/

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ

 

「ワイドズーム10-24mmでマルタ島を撮る」の第1回からの記事はこちらからご覧下さい。

第1回 10mmと18mmのちがい、10mmと24mmの使い分け
第2回 超広角ズームで撮りたい被写体と画面構成
第3回 超広角ズームでもVCはありがたい
第4回 マルタの猫

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マルタ島は日本ではそれほど有名ではありません。ただ、ここ数年で一部の人に知られるようになりました。長年に渡って英国領だったのできちっとした英語を話す方が多く治安も良いので、日本の女子大生の間では留学先として人気が出てきました。

またマルタの猫と聞いたらどうでしょう?「はっ!」と思い浮かんだ方もいるのでは。

写真家の新美敬子さんが同名の写真展を開催し、写真集も出されています。そうです。マルタはノラ猫で有名な島なのです。ノラ猫を見に来るのがマルタへ来る目的だという人も多いようです。私は特に猫好きというわけではありませんが、散策中に撮れた写真を見ていただきたいと思います。

 

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海岸通りを歩くと目に留まる大きな猫のオブジェがあります。よく見ると右目は怪我をしています。そうです。ノラ猫のオブジェなのです。ここは公園になっていていくつものノラ猫の住処があり、その多くはボランティアの人たちによって管理されています。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

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中にはとても可愛らしい家のようなデザインのものもあります。犬小屋ならぬ猫小屋です。中をのぞいてみましたが、残念ながら外出中でした。マルタ島のあちこちにこうした猫小屋があります。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100

 

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猫は島中のどこにでもいますが、やはり海辺の方が多いように思います。海岸近くの道を散策していると一匹の猫がドアの中に入りたそうにしていました。この家の飼い猫かなと思いましたが、首輪もしていないのでノラ猫でしょう。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/50秒 ISO感度:100

 

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「中に入りたいの? 入れないねぇ」と声をかけるとひっくり返って甘えて見せます。マルタの猫はまるで自分たちが観光資源のひとつに含まれているように感じているのかもしれません。そうでなければこんなに愛想よくできないでしょう(笑)

◎焦点距離:22mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:100

 

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カメラを近づけるといきなり立ち上がりました。タムロン10-24㎜のAFは速いので急な猫の動きにも対応できました。ノラ猫にしては毛並みもよく美しいです。毛の質感がよく表れています。もしかしたら飼い猫なのかもしれません。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/50秒 ISO感度:100

 

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いきなりレンズをめがけて足早で近寄ってきました。後ずさりをしながらシャッターを切りました。撮影距離が短く猫も私も動いているので手ブレしてしまうところですが、手ブレ補正機構VCのおかげでギリギリ写し止めることができました。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100

 

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近くに寄ってきてもモデル代がもらえないとわかると、猫はクルッときびすを返して走り去っていきました。少しも振り返らないところに潔さを感じます。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100

 

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泊まっていたホテルの近くの小さなスーパーマーケットにもノラ猫が2~3匹住み着いていました。買い物に行く度に会えるのを楽しみにしていました。逃げることもなく床で寝ていることが多かったです。この写真はクッキリと写しだされた猫の影が気に入っています。耳のところが可愛らしいです。

◎焦点距離:12mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:100

 

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スーパーマーケットの猫は夜になると門番のようにも見えました。ノラ猫ですから番などするわけはなく、友達の猫が来るのを待っていたようです。一眼レフの高感度ISO3200とタムロンの手ブレ補正VCがあれば夜のスナップも楽しいです。

◎焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:3200

 

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おまけです。マルタの犬です。ご存知でしょうか。マルチーズはマルタ島が原産の犬なのです。しかしマルタでマルチーズはあまり見かけませんでした。写真は10mmで思い切って近づいて撮っています。超広角では被写体を大きく写しつつも背景を広く取り入れることができます。被写体だけでなくその場の様子も細かに見せることができるのが魅力です。

◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/b023.html

 

「ワイドズーム10-24mmでマルタ島を撮る」の第1回からの記事はこちらからご覧下さい。

第1回 10mmと18mmのちがい、10mmと24mmの使い分け
http://www.tamronblog.jp/?p=3400

第2回 超広角ズームで撮りたい被写体と画面構成
http://www.tamronblog.jp/?p=3466

第3回 超広角ズームでもVCはありがたい
http://www.tamronblog.jp/?p=3515

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「望遠は手ブレしやすく、広角は手ブレしにくい」古くからそういわれています。そして多くの人がそう信じていると思います。でも、本当はちょっと違うのです。実際には望遠でも広角でも手ブレは同じように起きています。ただ、望遠よりも広角の方が、手ブレが目立ちにくいだけです。大きく拡大すれば広角だって手ブレしているのが明らかになります。

手ブレしにくいシャッター速度の目安として、焦点距離分の1秒(1/焦点距離 秒)があります。10-24㎜なら10㎜側は1/10秒、24㎜側は1/24秒が分岐点で、シャッター速度がそれより速ければブレない、遅ければブレるという基準点です。ただし、この値は35㎜サイズなので、APS-Cの場合は焦点距離を1.6倍に換算する必要があります。10mm側は1/16秒、24㎜側は1/38秒になります。でもタムロン10-24mmは手ブレ補正のVC機能を搭載しているので、シャッター速度で2~3段程度は遅くなってもカバーしてくれます。もっともカメラをしっかり構えて自らが手ブレしないようにすることは大切です。

 

ヨーロッパを旅行すると大きな教会や寺院に遭遇します。ストロボを使わなければ内部の撮影をしてOKというところも多いです。マルタ島ヴァレッタにも聖ヨハネ准司教座聖堂という豪華絢爛な聖堂があります。なんとカラヴァッジョの絵が2点も展示されています。さすがにカラヴァッジョは撮影禁止なのですが、それ以外はストロボを使わなければ撮影できます。とても広いので10mm側が役に立ちます。シャッター速度は1/15秒です。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:1800

 

これは上記を拡大した写真です。どうですか? 少しもブレていなくクッキリ写っているでしょう。手ブレ補正機構VCのおかげでキリッと写っています。ISO感度は1800です。最新の一眼レフは高感度ノイズが少ないので大伸ばしにも心強いです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:1800

 

同じく聖ヨハネ准司教座聖堂です。天井や壁の装飾が見事なので、つい上ばかり見上げてしまいますが、床にも注目しましょう。象嵌(ぞうがん)細工といって色のちがう石を組み合わせて絵や文字を表しています。これも素晴らしいです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:7200

 

こちらはヴァレッタのカトリック教会です。ここのドームもとても広く美しいです。静かで荘厳な雰囲気です。通常は祭壇を中心にフレーミングすると思います。写真を撮っている人はたくさんいます。教会なので入場料は必要ありません。なので私は撮らせてもらったお礼のつもりで少しお布施をおいていくようにしています。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:125

 

ドームを中心にも撮っておきました。天井のタイルひとつひとつが鮮明に写っています。やはりシャッター速度は1/15秒です。VCが効いていますから心強いです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:200

 

ヴァレッタにある国立考古学博物館です。いくつかの展示品を除いて内部の撮影が許可されています。タムロン10-24㎜はディストーション(歪み)がないので、室内の撮影でも得意です。大聖堂、教会、博物館といえば広く歪まないで写せ、手ブレ補正機構VCが効くタムロン10-24㎜で決まりです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:1400

 

さて、夜の街に繰り出してみましょう。以前は夜景を撮るといったら三脚の使用が絶対でした。三脚を持っての移動は大変です。タムロンのVCがあれば夜でも気軽にスナップ撮影ができるのです。

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◎焦点距離:17mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:8000

 

繁華街を離れた住宅街の教会です。讃美歌が聴こえたので半分開いたドアから中を覗くとミサが開かれていました。レンズを24㎜にして、邪魔にならないように静かにシャッターボタンをレリーズしました。ホワイトバランスをマニュアルの晴天にして赤味が強く出るように設定しています。

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◎焦点距離:24mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:800

 

いかがでしたか? タムロンのワイドズーム10-24㎜と高感度ノイズが少ないデジタル一眼レフがあれば、旅先で撮影できる場所も時間もグーンと広がります。
重たい三脚は星を写すような長時間露光用にとっておいて、気軽にスナップ撮影を楽しみましょう。

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/b023.html

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超広角ズームを手にしたら、どんな写真が撮りたいですか。
広くて、雄大で、うわっと驚くような景色! はい、確かにそうかもしれません。でも、そんな場所に撮影に行かれるチャンスがどれだけあるでしょう。そう考えるとしょんぼりしちゃいます。超広角ズームなんて手に入れても無駄なように思えてきますね。
アハハ、大丈夫です。超広角ズームといっても特別な被写体を撮るわけではないのです。日常でも旅先でも、いつでもどこでも使えるのです。

 

マルタの街はカラフルなドアや壁が多いです。特に綺麗なドアを見つけました。夕方なので斜光線になりクッキリ鮮やかです。 周りに邪魔物が多くがちゃがちゃするので24㎜でアップにしました。でも周りになにもないので状況がわかりません。

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◎焦点距離:24mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100

 

10mmで写してみました。状況はよくわかるようになりましたが、今度は両脇のクルマが余計です。しばらく待っていたらいなくなると思いますが、太陽が沈みそうです。難しいものです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

10mmのまま自分が前に出ていって両脇のクルマが入らない位置を探しました。周囲の状況もわかりつつ撮りたいカラフルなドアも大きく写っています。被写体に寄りつつも周囲も広く写せる。後ろへの引きがない場所では特に有効です。これも超広角の魅力です。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100

 

実際にはそれほど雄大ではないマルタ島の海辺です。それでも青い海と白い雲があって広い画角で収めると雄大に見えます。海も空も横に広いのでヨコ位置で撮るのが当たり前のように思えます。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100

 

ならば思い切ってタテ位置にしてみましょうか。どうでしょう? ヨコ位置の時よりも力強く立体的に見えませんか。実はふだん見ていない視野だからこそインパクトがあるのです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

 

空をもっと大きく入れたいので少しだけ振り仰いで撮りましょう。自然に画面の下側がカットされ整理されました。いい写真になったと思います。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

 

超広角レンズを持つと誰もが一度は経験するのが間違った遠近感のとらえ方です。超広角はレンズを振り上げたり降り下げたりすると被写体の形が歪みます。いつの間にか被写体の形が崩れることを超広角の描写だと思い、迫力が出ていると勘違いするようになります。この場合は遠近感が天地に向かってつくことになります。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100

 

遠近感は奥へ向かってつかなければなりません。建物は歪まないようにレンズを水平になるように構えましょう。上の方が切れてしまいますが、仕方がありません。上まで入れたければ脚立に乗るか、一脚でカメラを持ち上げるといった工夫が必要です。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100

 

今回のマルタ旅行で撮った写真の中でも好きな1枚です。若いカップルが防波堤越しに海を眺めているところです。写真には海は写っていないので、なにをしているのかわからないかも知れません。そこが、先が見えない未来に対する2人のイメージのように思えるのです。この写真は10mmで撮りました。それほど画角が広いようには思えませんよね。超広角くささがないのも好きな理由のひとつです。

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◎焦点距離:10mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100

 

abe阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部 秀之さんご使用のレンズについて詳しくは、
10-24mm F/3.5-4.5 Di II VC HLD(Model B023)製品ページ:
http://www.tamron.jp/product/lenses/b023.html

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