TAMRON LENS BLOG

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はい。阿部秀之です!
2回目では、パースペクティブは、上下ではなく、レベル(水平)を出して奥へつけなければならないという
話をしました。しかし、3回目では例外もあるという話をしましょう。
えー!と思われるかもしれませんが、写真はあーじゃなきゃいけない、こーじゃなきゃいけない。
あーすればいい、こーすればいい。というほど単純なものではありません。例外があって当然なのです。

巨大な赤い橋は神戸大橋です。神戸とポートアイランド間に架かる美しい橋です。
まずはレベルを出して遠近感を奥へ向けて撮ってみましょう。
悪くないのですが、15㎜といえども撮影距離が近いので橋が画面にたくさんは入りません。
中央の道路ばかりが目立って間抜けな感じです。
試しにレンズを上に振り上げて撮ってみました。橋が画面にドーンと入って迫力満点です。
上に向かって遠近感がついたので水面がわずかに傾いてしまいましたが、このくらいなら良しとしましょう。
2点のどちらを選ぶかと問われたら、文句なくレンズを振り上げて撮った方を選びます。
神戸大橋ではもう1シーン撮っています。反対側に振り返るとものすごい逆光で橋がシルエットに近く見えました。
ここではレベルを出した写真もカッコいいです。レベルが出せるものなら、やはり出したいのです。

 

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レベルを出してレンズを水平にして撮っています。15㎜といえども橋の上の方は収まり切れません。
中央の道路の方が目立っています。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:100

 

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レンズを上に振り上げて撮りました。
パースペクティブは天に向かってついてしまいましたが、それほど違和感はありません。
橋が大きく撮り込まれてダイナミックな感じがします。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:100

 

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神戸大橋を逆光で撮りました。シルエットにも美しさがあります。
このシーンではレベルを出したものもカッコよかったです。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:100

 

神戸の街中でスナップをしました。
アーケードが交わるところに代理石やタイルを埋め込んで作られた円形のカレンダーがあります。
私には立派なものに見えましたが、行き交う人はまったく気にせずに通っていきます。
15㎜でレンズを下に振り下げているので、パースペクティブが下に向かってついています。
でも、それほど違和感は感じられません。超広角の広がりは通行人で広さが消されているので28㎜ぐらいに見えます。
同じシーンで人が少ないと広がりが感じられるようになります。人の目はけっこういい加減なものです。

 

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15㎜で撮っているのですが、広がりが感じられないので28㎜ぐらいに見えます。
下に向けて撮っていますが、パースペクティブによる違和感はありません。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:110

 

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まったく同じシーンですが、人が少ないので画角が広く感じられます。
下に向かったパースペクティブの影響で行き交う人が先すぼまりになっています。
超広角の使い方としては許容範囲ギリギリでしょう。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:110

 

もう1点アップしましょう。大阪の門真南にあるなみはやドームです。
この写真もレンズを上に振り上げて撮っているので、
パースペクティブは上に向かってついているのですが違和感はありません。
周囲に真っ直ぐに立っているビルや柱がないからでしょう。
こんなときは思い切って振り上げて空を広く取り入れたいです。
カラーより白黒に変換したほうがよりイメージに合います。

 

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周囲に傾きを感じさせるものがほとんどないので、レンズをかなり上に振り上げていますが、違和感はありません。
思い切って空をたくさん撮り込みました。被写体がカラーよりも白黒に向いています。
撮影後に白黒に変換するとよりイメージ通りになりました。

◎焦点距離:15mm 絞り:f/5.6 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100

 

写真は自由なものです。どう撮るかはあなた次第です。
しかし、パースペクティブは、上下ではなく、
レベル(水平)を出して奥へつけなければならないという基本を知っていて、
そのうえでアレンジして撮るのと、基本をなにも知らないで撮るのとでは結果は大きく異なります。

 

Profile

阿部秀之

阿部秀之(あべ・ひでゆき)

東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。タムロン宣伝課を経て、86年よりフリー。ヨーロッパの風景、コマーシャルなど、幅広いジャンルを撮影。フリーになると同時にカメラ専門誌にも執筆をはじめる。
カメラグランプリ選考委員を87年より歴任。

 

阿部秀之氏が解説するレンズ、SP 15-30mm F/2.8 Di VC USDの製品スペシャルサイト
http://www.tamron.co.jp/lineup/a012/index.html

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