TAMRON LENS BLOG

150_600_howto_nemoto

―ご注意―(必ずお読みください)

 

TAMRON SP 150-600mm F/5-6.3 Di ?VC USDレンズで天体写真を撮ろう、というテーマで
撮影方法のご紹介をさせていただくことになりました。
天体写真といっても様々な分野があるのですが、最初はもっともアプローチしやすい月の撮影をしてみましょう。

 

01_01_MG_7724A LAST

シーイング(大気の揺らぎ)の良い時に撮影できた月齢4.9の月面です。
このような鮮明な写真がとれる良い条件はなかなか訪れません。(周辺部トリミング)

◎2014/11/27 18:15JST頃
焦点距離:600mm+Kenko AF1.5X Teleplus SHQ 絞り:F/6.3開放 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:400

 

月は大都市の街中でもよく見えますから、どこからでも撮影しやすい対象です。
月をいれた風景写真を撮影するのに、150mmから600mmまで焦点距離を自由に変えられるSP 150-600mmは、
非常に使いやすいレンズです。
ここではこのレンズの優れた光学性能を生かして、
月のある風景ではなく、月そのものをしっかり撮影してみようと思います。

特にSP 150-600mmで撮影するにあたって気をつけたいところ、工夫したいところを中心にお伝えしたいと思います。
なお掲載スペースの都合もあり、当記事では専門的な用語の解説は省略させていただきます。
特に月そのものについての知識、たとえば月の満ち欠けの現象やクレーターや海などの月の地形などについて、
ご自身で調べていただくと、より興味深く撮影でき、良い写真が撮れるようになると思います。
撮影にあたりいつ月が見えるかなどの月の情報を知る必要があります。
スマートフォンのアプリで、月齢や月の出入りの情報を確認できるものができます。
またインターネット上の天文情報専門サイトを見れば、より詳しい情報が出ています。
日々の天文現象を詳しく扱っている書籍もあります。

さて、いよいよ撮影の準備にとりかかりましょう。
まず撮影できる月の大きさですが、月は撮影するレンズの焦点距離を約1/100にした直径の像がピント面にできます。
100mmのレンズでは約1mm、1000mmだと約10mmの像が、カメラのイメージセンサー上にできるわけです。
月は地球に近づいたり遠ざかったりしているためすこし大きさが変化しますが、
だいたい1/100と覚えておいてください。
SP 150-600mmでは、1.5mmから6mmの像ができるわけです。
残念ながら月を直接撮影して細部を観察するには6mmでも少し小さいので、
センサーサイズが35mm判フルサイズのカメラを使うよりAPS-Cサイズのカメラを使うほうが、
約1.5~1.6倍になるためより細密なイメージを得ることができます。
実際にセンサーのピッチもAPS-Cサイズのほうが小さく、解像度が高くなります。
さらにセンサーサイズが小さいカメラ、例えばニコン1を使用するとフルサイズの約2.7倍相当になるため、
600mm端で1,620mm相当となり、かなりの迫力ある月面の写真が撮れるようになります。

 

【焦点距離で異なる、月の大きさ】

MG_7603A

150mmで撮影した画像(Canon EOS Kiss X5 およそ240mm相当)
クレーターの存在がなんとか確認できます。月齢19.7。

◎2014/11/12 23:44JST頃
焦点距離:150mm 絞り:F/5開放 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:400

 

MG_7599A

600mmで撮影した画像(Canon EOS Kiss X5 およそ960mm相当)
クレーターがかなりはっきりわかるようになります。月齢19.7。

◎2014/11/12 23:43JST頃
焦点距離:600mm 絞り:F/6.3開放 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:400

 

MG_7678A

600mm +1.5倍テレコンバーターの使用例(Canon EOS Kiss X5 およそ1,440mm相当)
この写真はケンコーの1.5倍テレコンバーターを併用して、1.5倍に拡大したものです。
古い時代のテレコンバーターのようで、カメラ側からレンズ制御ができなかったので、マニュアル撮影しています。
像が拡大された分、クレーターが鮮明です。月齢21.9。

◎2014/11/15 03:24JST頃
焦点距離:600mm++Kenko AF1.5X Teleplus SHQ 絞り:F/6.3開放 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:400

 

 

01_05_DSC0675

ニコン1にSP 150-600mmを装着して撮影した画像(およそ1,620mm相当)
さらに大きくなり、クレーターがよくわかります。
ニコン1V1にはレンズの絞りを調整可能な中国製のマウントアダプターを使用して撮影していますが、
この使い方ではライビュー表示が拡大できず、この時はピントが良く合わせられず鮮明さが劣ってしまいました。
ピント合わせは重要です。月齢21.9。

◎2014/11/15 03:26JST頃
焦点距離:600mm 絞り:F/6.3開放 シャッタースピード:1/250 ISO感度:200

 

01_06_DSC0461

600mm +2倍テレコンバーターの使用例(Nikon D5300 およそ1,800mm相当)
ケンコーの2倍テレプラスを使用してみました。
月面の撮影にはこのくらいの倍率が欲しいところです。シーイングがよかったなら、もう少し鮮明に撮れるはずです。

◎2014/11/29 20:56JST頃
焦点距離:600mm+2x Teleplus MC6 絞り:F/6.3開放 シャッタースピード:1/250 ISO感度:400

 

次に構図ですが、600mm端では月をレンズの写野にいれることは、慣れないと意外と難しいかもしれません。
最初は150mm端で月を入れ、ズーミングします。
撮影にあたっては満月など非常に明るく高速シャッターを切れるとき以外は、
いくらこのレンズの手ぶれ補正機能が優秀でも重い機材を持ち上げての手持ち撮影は難しいので、
レンズとカメラを支えられるしっかりした大型三脚が必要です。
そして微妙な位置調整を行うために、上下左右に微動装置が備わっている雲台を使用することが好適です。
月は地球の自転にともなう日周運動と自分の公転運動により、かなり速く空を移動しています。
600mm端ではすぐに位置がずれ、視野の外に移動してしまうのに驚かれるかも知れません。
微動式雲台であれば、追跡していくのは比較的容易です。
もし継続的に月の写真を撮りたいのであれば、ぜひそうした雲台を用意してください。
さらに本格的に月の写真を撮るためには、天体望遠鏡の架台を利用することになります。
電動追尾式の経緯台あるいは赤道儀を使えば、
月を視野の中心に固定したままにできるので撮影はとても楽になりますし、
月の移動による被写体ぶれもなくなります。これらについては専門書を参照してください。
なお三脚等を使用する場合、取り扱い説明書どおりでは手ぶれ補正機能はOFFにして撮影しますが、
それでもぶれてしまう場合には手ぶれ補正機能をONにして撮影してみて、良い結果が得られた方を採用します。

 

【私の撮影機材】

01_07_DSCN6201A

三脚に搭載して撮影。丈夫な三脚の上にケンコーのNewKDSマウントを載せ、微動雲台として使用しています。

 

01_08_DSCN6219A

セレストロンのネクスターSE自動追尾式経緯台に搭載して撮影。
架台を水平に設置し、GPSで緯度経度と時間データを取得させ、その後月を導入して月モードで自動追尾させています。

 

01_09_DSCN6237A

セレストロンのCGEM自動追尾式赤道儀に搭載して撮影。
GPSで緯度経度と時間データを取得させ、赤道儀の極軸を合わせ、その後月を導入して自動追尾させています。

 

ピント合わせですが、月の表面の模様がはっきりしているところを測距すれば、AFで合焦するはずです。
もしAFによるピント合わせが不安定なようでしたら、積極的にライブビューを使用し、
イメージを拡大してMFでピント合わせを行ってください。
光学式ファインダーでは、精密なピント合わせは困難です。
モニター上でイメージを拡大しすぎると、シーイングの影響で像が揺れすぎて、
かえってピント合わせしづらいですから、
ピント合わせしやすい倍率に落としてできるだけ精密にピント調整を行います。
SP 150-600mmは、MF時のピントリングの反応が大きいため、
ほんとうにわずかずつずらして調整するようにします。
またMFをする場合には、カメラのモニターが可動式となっていて、自分のほうを向くタイプのカメラが便利です。
パソコンやスマホと有線あるいは無線で接続できるカメラでは、
パソコンやスマホのモニターでピントを観察しながら調整すれば良いでしょう。
次回は、露出について解説します。

 

Profile

根本泰人(ねもと・やすひと) クラシックカメラの修理専門店である有限会社ハヤタ・カメララボ取締役。40年以上に渡り、天体観測や写真撮影を続けている。
「メシエ天体ガイド」アスキー出版局(1993)、「メシエ天体アルバム」アストロアーツ(2004)、
「DVDで始める天体観察入門」アストロアーツ(2008)、「ビジュアル星空案内」 アストロアーツ(2011)、
「世界ヴィンテージ・カメラ大全」東京書籍(2012)等、著書多数(いずれも共著)。

 

根本泰人さんご使用のレンズについて詳しくは、
SP 150-600mmスペシャルサイト:http://www.tamron.co.jp/lineup/a011/index.html

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