プロ野球といえば夜のナイターや週末開催が一般的。
しかし今季、日本ハムと楽天があえて“平日昼間”に試合を組むという異例のスケジュールに注目が集まっています。
2025年5月、日本ハムは3連続でデーゲームを実施し、楽天も14日・15日にかけて平日午後1時開始の試合を設定しました。
一見すると客足が遠のきそうな日程ですが、実はそこにあるのは、学生の職場体験や教育的な機会を重視するという「新しい観戦スタイル」の提案。
従来のファン層に加え、未来の観客や野球に触れたことのない世代へ向けた、球団側の“仕掛け”が詰まっているのです。
平日デーゲームに驚きと癒しの声!パ・リーグが見せた“新しい観戦スタイル”
5月13日、プロ野球パ・リーグでは、珍しく平日の昼間に2試合が開催されました。
日本ハム対オリックスはエスコンフィールドで、楽天対ロッテは楽天モバイルパークで、それぞれ午後1時にプレーボール。
平日ながらも球場は多くのファンで賑わいました。
平日の昼間に試合?SNSでも話題に!
「平日なのにデーゲーム!?」「客入りすごい」「ビジョンに映る子どもたちが微笑ましかった」など、ネット上でも驚きと称賛の声が続出。
普段はナイター中心のプロ野球において、平日開催の昼間ゲームはやや異色ですが、そこが逆に新鮮だったようです。
学生やファミリー層も球場に!球団の狙いとは?
日本ハムはエスコンF開業以来、3年連続で平日デーゲームを開催。
この試みには「平日夜や週末に来場が難しい層にも観戦のチャンスを」という配慮が込められています。
また、学校単位での観戦を促し、課外活動として子どもたちが野球や球場に触れる機会を増やすという教育的な目的も。
球場にはちびっこや学生の姿も多く見られ、まさに“野球に親しむきっかけ”を提供する場となっていました。
大盛況!来場者数は2球場で5万人超え
この日の観客数は、エスコンフィールドが28,529人、楽天モバイルパークが23,521人と、平日昼間とは思えない盛り上がりを見せました。
球団の狙いがしっかり届いたことを証明する数字と言えるでしょう。
平日デーゲームは、ただ珍しいだけでなく、新しいファン層の開拓や教育的な価値提供など、球団の意図が込められた試みでした。
平日でも昼間から球場が賑わう光景は、多様な楽しみ方が生まれているプロ野球の今を象徴しているのかもしれません。
なぜ平日にデーゲーム?楽天と日本ハムが見出す「野球の新しいカタチ」
プロ野球といえば、ナイターや週末の試合が主流。
しかし、今季の楽天や日本ハムは、あえて“平日昼間”に試合を組むという新たな試みに注目を集めています。
その背景には、単なる話題作りではない、深い意図と新たな価値観がありました。
職場体験×野球観戦で、子どもたちにリアルな学びを
楽天が5月14日(火)と15日(水)にソフトバンク戦をデーゲームとして設定した理由は、宮城県内の小中学生に向けた特別な体験プログラムがあるからです。
この取り組みは2017年に始まり、今年で7回目(コロナ禍での中止を除く)。小学生は“弟子入り”、中学生は“職場体験”として、球場スタッフの仕事を実際に体験します。
清掃やグッズ販売、マスコットの誘導まで、プロ野球の裏側を自らの手で知る貴重なチャンス。
加えて、今年は「サステナブル」をテーマに、ごみの分別や環境保全について考えるアクションも導入され、教育的な意義がより深まりました。
子どもに野球を「観る」から「体験する」スポーツへ
単に試合を観てもらうだけでなく、「野球の現場で働くとはどういうことか」を体感してもらうことで、スポーツの魅力をより立体的に伝える狙いがあります。
野球離れがささやかれる中、若年層の関心を引き、将来的なファン層や働き手を育てる意味でも、こうした“体験型イベント”は重要な取り組みとなっています。
平日デーゲームで“観客減”の壁を乗り越える挑戦
背景には、楽天が直面する観客動員数の課題もあります。2023年のシーズン、楽天の本拠地観客数は12球団で最下位となり、1試合あたり平均1万8900人という数字に球団も危機感を抱いています。
楽天球団社長も「観客を入れるための考えが足りていなかった」とコメント。
だからこそ、ただチケットを売るだけではなく、「体験と観戦をセットにした価値ある来場体験」が必要だと考えられているのです。
野球が“もっと身近”になるデーゲームの意義
平日昼間に野球を観るという発想は、一見すると珍しく感じるかもしれません。
しかし、未来のファンを育てること、そしてスポーツの現場を体験してもらうことを目的としたこの取り組みは、野球を社会とつなぐ新しいアプローチとも言えます。
楽天や日本ハムが仕掛ける“平日デーゲーム”は、単なるイレギュラーな日程ではなく、「野球をもっと好きになってもらう」ための大切な挑戦なのです。
まとめ
ナイター中心だったプロ野球に、今あえて“平日デーゲーム”という新しい風が吹き込まれています。日本ハムや楽天のように、観客を「ただ呼び込む」のではなく、教育や地域交流の場として球場を活用する動きは、野球の可能性を広げる試みでもあります。
子どもたちに球場という空間で実体験を与え、未来のファンを育てるという視点は、球団経営においても重要な視座になりつつあります。
これからの野球界は、単なる娯楽を超えた“社会とつながるスポーツ”として、新たなステージに進もうとしているのかもしれません。