2026年1月、Gmailの仕様が大きく変わります。これまでブラウザ版Gmailで利用できた「他のアカウントのメールを確認（POP受信）」が完全に終了し、外部メールを一括管理していたユーザーは設定の見直しが必須となります。
「急にメールが届かなくなった…」と慌てないためにも、今のうちに自分が影響を受けるかどうか確認し、移行準備を進めることが重要です。
本記事では、影響有無のチェック方法から、スマホ・パソコン別の移行手順まで、初心者でも迷わないよう分かりやすく解説します。
Gmailで何が変わる？仕様変更のポイントをわかりやすく解説
Googleは2025年秋に発表したアップデートで、2026年1月からGmailの一部機能を段階的に廃止すると明らかにしました。今回の変更で対象となるのは、
他サービスのメールをGmailに取り込む「POP受信」
Yahoo!メールなどをGmailの仕様で使えるようにする「Gmailify」
という2つの機能です。
これまでGmailは、まるで“あなたの代わりに郵便物を取りにいく秘書”のように、外部メールもまとめて管理してくれる便利な存在でした。
しかし、この「外部メールの自動収集」が終了することで、今までのようにブラウザ版Gmailだけで複数メールを一括チェックする方法は使えなくなります。
なお、今回の廃止対象はあくまで ブラウザ版Gmailの一部機能のみ。
スマホアプリでのIMAP接続やOutlookなど外部ソフトの利用は、今後も問題なく使えます。
なぜ機能終了？背景にあるのは“セキュリティ強化”
今回の仕様変更の大きな理由は、古い技術POP（Post Office Protocol）の安全性が限界を迎えていることにあります。
POPは1980年代に作られたメール受信方式で、現在のセキュリティ基準に完全には対応できません。
具体的には、
通信が暗号化されずに送られる場合がある
パスワードのやり取りが安全でない
端末ごとのメール同期が苦手
最新のセキュリティ基準に適さない
といった問題点があるため、Googleは“より安全なメール環境”へ移行するために、POP受信の提供終了を決断したわけです。
どんな人が影響を受ける？まずは自分の使い方をチェック
今回の変更が影響するのは、主に ブラウザ版Gmailで外部メールを受信しているユーザーです。
該当する利用スタイルの例は次の通りです。
会社の独自ドメインメールをGmailで受信している
レンタルサーバーのメールをGmailに集約している
プロバイダメールをGmailで管理している
Yahoo!メールやOutlookメールをGmailへ自動取り込みしている
逆に、
Gmail（@gmail.com）を普通に使っているだけ
スマホアプリやOutlookなどのメールソフトでGmailを受信している
という場合は、今まで通り影響はありません。
自分は影響を受ける？Gmailの設定から3分で確認できる方法
ブラウザ版Gmailで以下の手順を行えば、あなたの環境が変更対象かどうかすぐにわかります。
パソコンでGmailにログイン
右上の歯車アイコンから「すべての設定」を開く
「アカウントとインポート」をクリック
「他のアカウントのメールを確認」という項目をチェック
この欄に外部メールアドレスが表示されている場合、今回の仕様変更の対象です。
さらに、その横に 「POP3」 と書かれていれば、確実に受信方法の変更が必要になります。
なお、メールが消えてしまうわけではないのでご安心ください。
メールは元のサーバーに残っているため、別の方法へ移行することで引き続き閲覧可能です。
どの方法に乗り換える？4つの対策から最適な選択を
Gmailの仕様変更に備えるには、主に以下の4つの移行方法があります。
GmailアプリでIMAP接続する
メリット：スマホなら設定が簡単
デメリット：パソコンのブラウザでは使えない
おすすめ：スマホでのメールチェックが中心の人
メールソフト（Outlook・Thunderbirdなど）で管理する
メリット：パソコン環境で複数アカウントを快適に管理できる
デメリット：初期設定が必要
おすすめ：PCでメールをまとめて扱いたい人
メール転送の設定を利用する
メリット：これまで通りブラウザ版Gmailで受信可能
デメリット：転送の途中で迷惑メール扱いされる可能性
おすすめ：設定をあまり変えたくない人
Google Workspaceへ切り替える
メリット：高機能でビジネス用途に強い
デメリット：有料
おすすめ：会社運営や本格的なメールシステムが必要な人
Gmailアプリで外部メールを扱う方法（IMAP接続）
ブラウザ版GmailでPOP受信が使えなくなっても、スマートフォンやタブレットのGmailアプリでは、これまで通り外部メールアドレスを追加して管理できます。
設定もシンプルで、多くのユーザーにとって最も取り組みやすい移行手段です。
特徴まとめ
無料で利用できる
スマホ・タブレットで外部メールを閲覧・返信できる
メールはサーバーに残したまま同期されるため複数端末で同じ状態を確認可能
ただし、ブラウザ版Gmailには反映されない点に注意
IMAPは“メールを取りに行く”のではなく、“サーバー上をそのまま映し出す”仕組みなので、端末を変えても同じメールが見られるのが最大のメリットです。
Outlook・Thunderbirdなど外部メールソフトで管理する方法
メールをパソコン中心で扱うなら、OutlookやThunderbirdなどの専用ソフトを使う方法が非常に便利です。
複数のメールアドレスをまとめて管理でき、振り分け機能などの高度な操作も豊富にそろっています。
代表的なメールソフト
Microsoft Outlook：Officeに標準搭載されたプロ仕様
Thunderbird：無料で使える多機能ソフト
Apple Mail：Macユーザーに最適な標準アプリ
これらのソフトは、ビジネス利用にも耐えられる管理性能を持っており、メールを大量に扱う人に向いています。
メール転送機能でGmailを使い続ける方法
外部メールをこれまで通りブラウザ版Gmailで確認したい場合は、「メール転送設定」を使うという手もあります。
元のメールサーバーで転送先をGmailに指定しておけば、自動的にメールを受け取れます。
基本の流れ
元のメールサーバー管理画面にログイン
転送に関する項目を開く
転送先にGmailアドレスを入力
転送設定を有効化
ただし、転送されたメールが迷惑メールフォルダに入ってしまう可能性があるため、定期的な確認は必須です。
Google Workspaceを利用する方法（ビジネス向け）
本格的な運用を目指す企業や団体には、Googleのビジネスサービス「Google Workspace」への移行が最適です。
独自ドメインでもGmailのフル機能が使えるため、セキュリティ面も運用効率もレベルアップします。
Google Workspaceの主な特徴
独自ドメインでGmail機能をフル活用できる
Google Drive・Meet などのビジネスツールが統合
強力なセキュリティ機能
月額料金が必要
複数人でメールを共有する組織や、ビジネス上の信頼性を高めたい場合に適しています。
GmailアプリでのIMAP設定ガイド（スマホ版）
ここでは、外部メールをGmailアプリに追加する手順をわかりやすく解説します。
Android・iPhoneどちらも操作はほぼ同じです。
設定手順
Gmailアプリを開く
左上のメニュー（≡）をタップ
「設定」→「アカウントを追加」
「その他（IMAP）」を選択
メールアドレスとパスワードを入力
自動設定できない場合は「手動セットアップ」へ
IMAPサーバー情報を入力
必要な設定情報
メールアドレス・パスワード
IMAPサーバー名（例：mail.example.com）
ポート番号（993 / 143）
暗号化方式（SSL / TLS）
サーバー情報は契約しているプロバイダやレンタルサーバー会社のヘルプに記載されています。
メールソフトで設定する方法（例：Outlook）
パソコンで使う場合の設定例として、Outlookを使った手順をご紹介します。
Outlookの設定手順
Outlookを起動
「ファイル」→「アカウント追加」
メールアドレスを入力
「詳細オプション」→「手動で設定する」を選択
「IMAP」を選択
サーバー情報を入力して設定完了
設定に必要な項目
受信サーバー（IMAP）
送信サーバー（SMTP）
ポート番号
暗号化方式（SSL/TLS）
これらの情報もメールサービス提供会社のヘルプに掲載されています。
メール転送設定の詳細
転送方法はサービスによって異なりますが、一般的な流れは共通です。
一般的な手順
メールサーバーの管理画面にログイン
「メール設定」や「転送設定」を開く
該当メールアドレスを選ぶ
Gmailアドレスを転送先に入力
設定を有効化
例：エックスサーバーの場合
サーバーパネル →「メールアカウント設定」
対象ドメイン選択
メールアドレスを選択
「転送」タブで転送先を指定
移行前に必ずやるべき注意点とバックアップ対策
移行作業は慎重に行わないと、重要なメールを失うリスクがあります。
そのため、事前にバックアップを取っておくことが非常に重要です。
バックアップが必要な理由
設定ミスによるメール受信停止のリスク
過去のメールを確実に保護できる
移行中のトラブルによる紛失を防げる
バックアップ方法の例
必要なメールをPDFやeml形式で保存
メールソフトでローカル保存
外部ストレージへエクスポート
移行後は必ず「テスト送信と受信」を行い、メールが正常に動作しているかチェックしましょう。
よくある質問：移行はいつまでに完了すべき？
移行作業は 2025年12月までに終わらせておくのがベスト です。
というのも、2026年1月になるとブラウザ版Gmailで外部メールのPOP受信が一切使えなくなるため、年末ギリギリに対応しようとするとトラブルが起きやすいからです。
早めに準備しておけば、年明けに「突然メールが届かない！」と慌てる心配もありません。
既存のメールは消える？データ喪失の心配は？
安心してください。これまで受信してきたメールが消えてしまうことはありません。
メールはあくまで 元のメールサーバーに保存されているため、接続方法を変えてもデータ自体は残り続けます。
ただし注意したいのは、
Gmail側で作っていたラベルやフィルターは移行先に引き継がれないことがある という点。
重要な振り分け設定がある場合は、移行後の環境であらためて設定し直す必要があります。
スマホではどうやってメールを見る？
スマホでメールチェックを続けたい方は、GmailアプリのIMAP設定を使えば、これまでと同じように外部メールを閲覧できます。
IMAP接続は今後も提供される仕組みなので、
外部メールアドレスの追加
スマホからの送受信
をそのまま継続できる点が大きなメリットです。
詳しい手順は、前述の「GmailアプリでのIMAP設定方法」を参考にしてください。
メールアドレスが複数ある場合はどうする？
複数の外部メールアドレスをGmailに集約していた場合は、アドレスごとに個別の対応が必要 です。
作業をスムーズに進めるポイントはこちら：
よく使うアドレスから優先して設定する
同じメールサーバーを使っているものはまとめて変更する
使用頻度の低いメールは、転送設定だけで簡単に対応する
全部を一気に切り替える必要はなく、重要度に応じた段階的な移行 が効率的です。
会社のメールを使っている場合は？
会社のメールアドレスをブラウザ版Gmailで受信していた方は、まず社内のシステム管理者に相談することが必須 です。
企業ごとにセキュリティルールが決められているため、個人判断で設定を変更するとトラブルにつながる可能性があります。
企業で採用される主な対応例は以下の通りです。
社内指定のメールソフトの利用
VPN経由でWebメールを使う方式に切り替え
Google Workspaceへの段階的な移行
会社側でメール転送を設定する
会社メールは個人用とは扱いが異なるため、必ず事前に確認してから作業するようにしましょう。
まとめ
2026年1月のPOP受信終了は、多くのユーザーに影響する可能性がありますが、事前に移行しておけばメールが突然使えなくなる心配はありません。
GmailアプリでのIMAP設定、Outlookなどのメールソフトの利用、メール転送設定、Google Workspaceへの移行など、選択肢は複数あります。
大切なのは、自分の利用スタイルに合った方法を選び、2025年末までに準備を終えておくこと。
適切な手順を踏めば、今後もストレスなくメール運用を続けられます。本記事を参考に、安心して移行作業を進めてください。
